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【社会】

「傷ついている人の分も」 都内の男性、提訴への決意

国を提訴し、記者会見をする原告の男性=17日、東京・霞が関の司法記者クラブで

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 「人生を無残にされた。国は真実を明らかにして、できるなら、私の人生を返してほしい」。十七日に東京地裁に訴状を提出した都内の男性(75)は記者会見し、こう訴えた。

 宮城県出身の男性が不妊手術を強いられたのは一九五七年春ごろ。当時まだ十四歳だった。父親が再婚し、継母が弟を出産したのを機に「悪さばかり」するようになり、仙台市内の児童施設に入所していた。

 「何の説明もなく、産婦人科に連れて行かれた」。そこは強制不妊手術を行っていた診療所で、この日仙台地裁に提訴した七十代の女性もそこで手術を受けたとされる。

 男性は周囲の強い勧めで二十八歳で結婚。「なぜ子どもができないんだと言われ、妻がどんなにつらい思いをしたか。一人の女性を不幸にしてしまった」との罪悪感が、今も胸にあるという。

 四十年連れ添った妻に、不妊手術を初めて打ち明けたのは五年前。白血病のため病床にいた妻が、息を引き取る数時間前だった。

 「かつての私と同じように、声を上げられず、一人で傷ついている人が大勢いる。その方々の思いも込めて、裁判を進めたい」と決意を語った。 (石川修巳)

 

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