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【社会】

「突然手錠、診断もなく」 9歳被害を知り決断 強制不妊 一斉提訴

手術を強制された当時について取材に応じる小島喜久夫さん=札幌市で

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 旧優生保護法(1948〜96年)下で不妊手術を強制された札幌、東京、宮城の70代の男女3人が国に損害賠償を求める一斉提訴。札幌市北区の小島喜久夫さん(76)は「悪いのは自分たちではなく国だ」。被害者の中で異例の実名を公表する対応で、一貫して謝罪や補償に応じようとしない国の責任を訴えた。

 小島さんは十七日、提訴後に札幌市内で開いた記者会見で「自分もつらい思いをしてきて、誰にも言えないことを吐き出した。同じ思いをしている人は出てきてほしい」と語った。

 妻麗子さん(75)と並んで記者会見に出席した小島さんは「妻が反対していたら私は言い出せなかった。自分のことを言うのは嫌だったが、妻が支えてくれた」と感謝した。

 小島さんは一九四一年生まれ。証言によると、生後間もなく、北海道石狩市の農家に引き取られたが、養父母と仲が悪く、荒れた生活を送った。十九歳ごろ、家に来た警察官に突然手錠を掛けられ、そのまま精神科病院に連れて行かれた。反抗すると、頭に電気を流され、鉄格子付きの「独居房」に入れられた。

 医師の診断はなく、看護師に「精神分裂病」と言われただけだった。別の男性が「子どもができなくされた」と話し、一日数人が手術室に呼ばれていた。自分が精管切除手術を受ける時は、抵抗する気力を失っていた。

 麻酔は効かず、腹部に激しい痛みが三日間続き、その後、スリッパとジャージー姿で病院を逃げ出した。

 タクシー運転手になり、妻の麗子さんと八〇年に結婚。麗子さんには子どもができない理由を「おたふくかぜのせい」とごまかした。

 今年一月、初めての提訴を新聞で知り、麗子さんに告白するか悩んだが、数日後、九歳女児の被害者までいたのを知って心が動き、事実を打ち明けた。

 その後、弁護士に相談して提訴を決意。中傷を受け公表を悩んだこともあるが「悪いのは自分たちではなく国だ」と訴える。

 

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