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【社会】

夢二、若き日の肉筆画 展覧会で未完画文集公開「原点といえる作品」

竹久夢二の画文集「揺籃」=18日、東京・丸の内の東京ステーションギャラリーで

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 憂いを帯びた美人画で知られる画家の竹久夢二(一八八四〜一九三四年)が二十歳ごろに創作した未完の画文集が見つかり、東京で十九日から始まった展覧会で公開されている。夢二の肉筆画としては最も古い時期のものとみられ、調査した学芸員は「夢二の原点といえる作品ではないか」と話している。

 所蔵する東京都千代田区によると、画文集は薄い和紙製で、縦二四・七センチ、横一七・〇センチ。表紙には、ドイツの作家シラーの詩から着想を得たタイトルとみられる「揺籃(ようらん)(ゆりかごの意味)」と記載。シラーなど海外の文学作品をアレンジした複数の物語や詩がつづられている。

 水彩の挿絵四枚も収録され、母子像や男女の別離の場面などが描かれている。夢二が初期からモチーフとし、生涯にわたるテーマだったことが分かるという。

 裏表紙には「1903DEC23」と記されていた。「夢二」と雅号を名乗り始める約二年前。当時、早稲田実業学校の学生で新聞などにカット絵を投稿していた。氏名はなく、筆跡や画風から、調査した千代田区が自筆と判断した。

 文章を練った跡が多数残り、千代田区文化振興課の学芸員井上海さんは「創作への情熱がうかがえる。出版を目指していたのではないか」と指摘する。

 画文集は二〇一五年、夢二の画集などを刊行していた千代田区の出版社「龍星閣」が同区に寄贈した関係資料約千二百点の中から見つかった。

 竹久夢二学会理事で帝京大教授(美術史)の岡部昌幸さんは「夢二は今も人気が高い作家だが、アカデミックな教育を受けず、団体をつくらなかったこともあって若い頃の実態が分かる資料は少なく、大変貴重だ」と話している。

     ◇

 画文集は、東京ステーションギャラリー(東京都千代田区)で開催中の「夢二繚乱(りょうらん)」展(東京新聞など主催)で公開。七月一日まで。毎週月曜日は休館(六月二十五日を除く)。問い合わせは同ギャラリー=電03(3212)2485=へ。

 

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