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【社会】

日大選手謝罪「やらない選択なかった」 「自分の弱さ」深く反省

記者会見を終え、会見場を出る日大の宮川泰介選手(中央)=22日、東京都千代田区の日本記者クラブで

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 「相手をつぶせば(試合に)出してやる」。アメリカンフットボールの試合で関西学院大の選手を負傷させた日本大の選手が、危険なタックルは監督やコーチの指示だったと明かした。監督が指示の有無を明らかにしない中、当事者の学生が会見する異例の事態。「やらない選択肢はなかった」。実戦練習から外され、追い詰められていった心境を語った。 (奥村圭吾、木原育子、松村裕子)

 「深く反省しております」。黒いスーツ姿の日本大の宮川泰介選手(20)は会見冒頭、硬い表情で二十秒近く頭を下げた。「顔を出さない謝罪はない」との判断から、実名を明かし、撮影も受け入れた。報道陣約三百人を前に陳述書を読み上げ、経緯を説明した。

 今月三日の練習後、内田正人監督(当時)から「やる気があるのかないのか分からない。試合に出さない」と名指しで叱られた。翌四日、大学世界選手権の日本代表を辞退するよう迫られ、実戦形式の練習から外されるようになった。

 試合前日の五日、高校時代から師事していた井上奨(つとむ)コーチから練習後に声を掛けられた。「『クオーターバック(QB)をつぶしにいくんで僕を使ってください』と監督に言いに行け」。「相手のQBがけがをして秋の試合に出られなかったら、こっちの得だろう」とも言われた。

 そして迎えた試合当日。「ここでやらなければ後がない」と思い詰め、自ら「相手のQBをつぶしにいくんで使ってください」と監督に伝えた。「やらなきゃ意味ないよ」と監督。コーチからも「思い切って行ってこい」「できませんでしたじゃ、すまされないぞ」と強く念押しされた。

 悪質な反則プレー。直後は頭の中が真っ白になり、相手の選手がけがをして交代したことすら気付かなかった。その後も二度、反則を重ね、退場に。テントに戻ってから事の重大さに気付き、涙を流した。その様子を見たコーチからは「優しすぎるところがダメなんだ」と責められたという。

 会見には二人の代理人弁護士が同席したが、報道陣からの質問のほとんどに宮川選手が答え、後悔の言葉を繰り返した。「監督、コーチからの指示に自分で判断できなかった弱さだと思う」。関学大の選手の父親が警察に被害届を出したことについては「選手、ご家族からしたら当然と思う」と力なく語った。

 「アメフットを続けていく権利はない。この先やるつもりはない」。高校で始めたアメフットだが、大学では「あまり好きじゃなくなっていった」と漏らした。

 

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