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【社会】

「淋イヨ」孤独つづる漱石 英国留学中のはがき、福井で発見

英国留学中の夏目漱石が、ドイツに留学した友人に宛てて書いた絵はがき。「独リボツチデ淋イヨ」(下段中央付近)などと書かれている=福井県立こども歴史文化館提供

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 英国留学中の夏目漱石が、ドイツに留学した友人に宛てて書いたはがき三通が福井市内の古書店で見つかった。「僕ハ独リボツチデ淋(さびし)イヨ」。異国での孤独な思いが細かな字でつづられており、鑑定した中島国彦・早稲田大名誉教授(日本近代文学)は「ロンドンでの生活ぶりが率直に書かれた貴重な資料」としている。福井県が二十三日、発表した。

 三通は、漱石がロンドンに渡った直後の一九〇〇年十一月から翌年八月にかけて書かれた。寄託された県立こども歴史文化館によると、いずれも一九一七年から刊行された全集に掲載されているが、原本は所在不明となっていた。昨年九月、入手した古書店から同館に連絡があった。

 宛先はドイツ文学者藤代禎輔(ていすけ)と福井県出身の国文学者芳賀矢一で、二人とも当時ドイツに留学していた。

 藤代宛ての二通は絵はがき。一通は、ロンドンの名所の絵に添えて「天気ノ悪ニハ閉口シタヨ」「英語モ中々上手ニハナレナイ」などと吐露し、日本人留学生が多かったドイツをうらやみ「僕ハ独リボツチ」と記した。

 もう一通では、ロンドンに遊びに来るよう誘っている。漱石は英文学の研究のため留学したが、神経衰弱に陥り、程なく帰国を余儀なくされた。芳賀宛てのはがきは、亡くなった共通の知人に関する内容だった。

 三通は、一緒に見つかった芳賀から藤代に宛てた絵はがきなど百九十一点とともに今月二十六日から同館で公開される。

 

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