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【社会】

ネット匿名ヘイトスピーチ立件 在日女性を脅迫容疑

記者会見する崔江以子さん(中)=24日、東京・霞が関の司法記者クラブで

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 ヘイトスピーチ(差別扇動表現)に反対する活動の先頭に立ってきた在日コリアン三世の崔江以子(チェカンイジャ)さん(44)=川崎市川崎区=を会員制交流サイト(SNS)のツイッターで脅したとして、川崎署は脅迫容疑で、神奈川県藤沢市の男(50)を書類送検した。崔さんや代理人の師岡康子弁護士が二十四日、東京都内で記者会見して明らかにした。

 同日でヘイトスピーチ対策法成立から二年。ネット上のヘイトスピーチにどう対処するかが課題となる中、師岡弁護士は「ネット上で差別を楽しむ人への強い警告になる」と立件による抑止効果に期待した。

 同弁護士によると、送検は十八日付。男はツイッターで「極東のこだま」という匿名アカウントを使用。送検容疑は、二〇一六年八月と一七年四〜五月、崔さんを名指しして「チョーセンはしね♪」「庭の植木に使うナタを買ってくる予定」などと書き込み、脅したとされる。男は容疑を認めているという。

 川崎署は一六年八月に崔さんの告訴状を受理したが、発信者の特定などに時間がかかった。師岡弁護士は対策法成立後、匿名者のネット上のヘイトスピーチの立件は初めてとしている。

 崔さんは、国会で参考人としてヘイトデモの被害を訴えるなど、対策法の成立に大きな役割を果たした。一方、メディアへの露出が増えるにつれ、ネット上で大量のヘイトスピーチにさらされてきた。

 崔さんは会見で、時折涙を浮かべながら「ネット上の書き込みがいつ現実になるかと恐れ、家族と映画に行くこともできなかった。生きるのをあきらめたくなる瞬間もあったが、無責任に差別を楽しむ人たちの成功体験になるわけにはいかなかった」と話した。

 対策法は、外国人への差別的言動を「許されない」と明記し、国や自治体に啓発活動の充実などを求める。だが、憲法で保障された表現の自由を侵害する恐れがあるとして禁止規定や罰則はなく、ネット対策の必要性は付帯決議で言及されただけだ。

 師岡弁護士は「(対策法の)一番不十分な点はヘイトスピーチを禁止していないことだ。違法化されれば、ネット上の差別投稿にも対処できる」と指摘した。 (佐藤圭)

 

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