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【社会】

出会い見守り50年 東京駅 待ち合わせの「銀の鈴」

東京駅構内にある4代目「銀の鈴」=JR東京駅で

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 東京駅の待ち合わせの目印といえば、八重洲地下中央口の改札内にある「銀の鈴」だ。昭和の高度経済成長期、激増する利用客が迷わないようにと当時の助役が発案し、形や場所を少しずつ変えながら多くの出会いを演出してきた。来月、誕生五十周年を迎える。 (増井のぞみ)

 利用客でごった返す金曜午前の東京駅。鈴の前で、東京都武蔵村山市の主婦峯脇淑子さん(66)が、一年ぶりに再会したという札幌市の女友達と抱き合って喜んでいた。「二十代のころから、鈴を待ち合わせに使ってきました。いろんな出会いがありました」と笑顔で話した。

 直径八十センチの鈴は、二〇〇七年に設置された四代目。アルミ合金製で、イルカの装飾がある。東京芸術大学学長だった宮田亮平さん(現文化庁長官)が制作した。

 芸術品のようになった現在の鈴からは想像もつかない。初代の鈴は駅員たちが竹と銀紙で手作りした。

 一九六四年の東海道新幹線開業で、上京者や旅行者が急増した。見送りや出迎えに、分かりやすい待ち合わせ場所が求められた。

 「巨大な鈴をつるそう」。当時の乗客担当助役・関口要之助さんが提案した。鈴は神社のシンボル。日本を代表する駅にもふさわしいと考えた。会議では金色にする案も出たが「成り金趣味」との声もあり、落ち着いた銀色が採用された。

 竹を組み、和紙を張り、銀紙で飾った。直径七十センチ。内部にスピーカーを入れて鈴の音を鳴らした。六八年六月十日、記念すべき初代の設置場所は、一階の東海道新幹線南乗り換え改札口前だった。

 初代は壊れやすく、鋳銅製の二代目が六九年十一月に登場する。八重洲中央改札口の外に移した。仕事やデートの待ち合わせにも便利な場所だった。八五年二月、同じ場所に三代目が登場するが、工事に伴い九四年八月、地下に移される。人通りの少ない場所だったが、エキナカ商業施設「グランスタ」が整備され、同じ場所で四代目に交代した。

 銀の鈴五十周年を前に、グランスタを運営する「鉄道会館」は、四代にわたる鈴を一堂に展示することを企画した。失われた初代は、現在の駅員たちが写真を参考にして少し小ぶりの直径六十センチで復元した。営業主任の礒崎美栄さん(38)は「駅員がお客さまのことを思って作った銀の鈴が、待ち合わせ場所として五十年続いているのは誇りです」。

 東京の待ち合わせ場所をテーマにした書籍を担当した編集者高野麻結子さん(41)は「携帯電話が普及し、簡単に人と人とが出会える時代になっても、この場所で待ち合わせれば間違いない、という安心感において銀の鈴は群を抜いている。ドラマチックな再会を待つ幸せの場所といえます」と話した。

◆あすから4代勢ぞろい

 初代から4代目までの「銀の鈴」を一堂に展示する「銀の鈴50周年フェア」は5月28日〜6月17日、銀の鈴広場で。28日午前11時に除幕式がある。

 問い合わせは鉄道会館=電03(6212)1740=へ。

 

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