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【社会】

不妊手術184人で弁護団 全国組織結成 来月にも3次提訴

 旧優生保護法(一九四八〜九六年)による障害者らへの不妊手術問題で、被害救済を国に求める全国被害弁護団が二十七日、結成された。約四十都道府県の弁護士百八十四人が参加し、高齢化した被害者への早期の謝罪、補償を求める動きを全国に広げる。新たに四、五人が六月下旬にも、国家賠償請求訴訟を起こす見通しも示された。

 東京都内であった結成大会で、旧法の不妊手術に関して「人間の尊厳を冒した憲法に違反する手術であり、合法であったとの主張は許されない」との声明を発表。旧法の下で繰り返された差別の根幹を取り除くため、当事者が参加する検証委員会設置も国に求めた。

 共同代表の新里宏二弁護士(仙台)は「被害者が声を上げるのはいかに困難か。その思いを全力で支えていきたい」と表明。同じく共同代表の西村武彦弁護士(札幌)は「裁判を通じて、障害のある人もない人も、一緒に歩いていける社会を目指す最初のステップにしたい」と語った。

 この日は東京都杉並区の精神科医、岡田靖雄さん(87)が講演。一九六〇年代に勤務した都立の精神科病院で、不妊手術の対象者に女性の入院患者を選定し、助手として手術に立ち会ったことを告白した。

 岡田さんは「関わった以上は責任を負うべきだ。関与した医師は名乗り出てほしい」と強調。夫婦ともに聴覚障害があり、妻が不妊手術を強いられた男性も発言し、「聞こえない人どうしが結婚すると、子どもが不幸になると言われた。なぜ勝手に決めつけられたのか」と訴えた。旧法を巡っては、一月に宮城県の六十代女性が初めて提訴し、五月十七日には東京、宮城、北海道の男女三人が二次提訴。五月下旬に三十八都道府県で行われた電話相談には、本人からの十九件を含む六十三件の相談があったという。 (石川修巳)

<旧優生保護法> 「不良な子孫の出生防止」を目的として議員立法で成立し、1948年に施行された。ナチス・ドイツの「断種法」の考えを取り入れた国民優生法が前身で、知的障害や精神疾患、遺伝性疾患などを理由に本人同意がない場合の不妊手術を容認していた。96年に障害者差別や強制不妊手術に関する条文を削除し、「母体保護法」に改められた。同様の法律により不妊手術が行われたスウェーデンやドイツでは国として被害者に正式に謝罪し、補償している。

 

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