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【社会】

日大アメフット部処分 相手がいるからこそ 運動部長・谷野哲郎

 日本大アメリカンフットボール部の悪質タックル問題で、関東学生連盟が内田前監督に対して除名処分を下した。警視庁の捜査や日大第三者委の調査結果が待たれる中、宮川選手の主張を全面的に支持。反則タックルを生んだ要因は監督・コーチの指導体制にあったと厳罰処分を下した意味は非常に大きい。

 悪質タックルといえば、忘れてはならない悪例がある。米プロアメリカンフットボールリーグのNFLを揺るがした「聖者の醜聞」だ。

 2009年のスーパーボウル覇者・セインツが危険タックルを奨励し、相手選手にけがを負わせたら、報奨金を支払っていたことが12年に判明した。DFコーチが指示し、相手が失神すると1500ドル(約12万円)、担架で運ばれると1000ドル(約8万円)などとけがの程度に応じて、金額が決められていた。

 今回、内田前監督は23日の会見で「まさか、ああいうことになってしまったのは、予想できなかった」と話したが、セインツ(=聖者)の事件を知らなかったとは考えにくい。お金ではなく出場機会を報酬にしていたとしたら、同様に悪質だ。このときNFLは当該コーチに1年間の謹慎、チームに約4000万円の罰金を科している。

 アメフットのルールには「アンスポーツマンライク・コンダクト(スポーツマンらしからぬ行為)」「アンネセサリー・ラフネス(必要ない乱暴)」というものがあり、暴言、暴力を禁止している。それでも今回のような事件が起きた。この日出された連盟の処分は今後に対する強固な指針となるはずだ。

 危険な反則に限らず、最近はスポーツマンシップが問われる事例が非常に多い。大相撲・元横綱の暴力事件、ライバルの飲み物に禁止薬物を混入したカヌーやレスリングのパワハラ問題。いずれも、スポーツに携わる者が備えるべき道徳的規範から逸脱するケースが増えている。

 何をしても勝てばいいのか。強い者や年長者の言うことが全てなのか。一部に残るあしき慣習をこれ以上続けさせないためにも、スポーツ界全体で襟を正す必要がある。

 以前、空手の女子日本代表・植草歩選手がこんなことを話していた。「空手は相手と向き合う競技。相手がいるから試合ができる。だから、相手への礼や尊敬の念を大事にするんです」。今、スポーツが社会から問われている。

 

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