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【社会】

一人親方、労災不正相次ぐ チェック甘く詐欺温床に

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 うその労災事故で休業補償金をだまし取ったとして、警視庁捜査二課は一日、詐欺の疑いで、運送会社員の男を逮捕したと発表した。個人で仕事を請け負い工事現場などで働く「一人親方」の労災保険制度を悪用。同じ手口の詐欺事件が相次いでおり、労災申請の窓口となる保険組合、労働基準監督署のチェックが甘く、不正受給の温床になっている。

 逮捕されたのは、東京都江戸川区の吉岡謙二容疑者(56)。逮捕容疑では、二〇一四年九月〜一五年一月、他人に成り済まして一人親方の労災保険に加入した上で、工事現場でけがをして働けなくなったとうその申請をして、休業補償金計三百五十万円をだまし取ったとされる。容疑を認めているという。

 二課は五月にも、同様の手口で休業補償金を詐取したとして別の男(41)を逮捕。埼玉県警も昨年十一月、男三人を逮捕していた。

 建設会社に所属する作業員の労災保険は、工事現場を管理する元請け業者が一括申請するため、うその事故は申請できない。一方、一人親方は保険組合などを通じて個人で労災申請するため、元請け業者によるチェックが及ばない。

 捜査関係者によると、警視庁に逮捕された男らは、実在の工事現場名を挙げ、実際は働いていないのに、「足場から落ちた」などと虚偽申請していた。現場を管理する元請け業者に聞けばうそと分かるが、組合や労基署は事故の有無を確認していなかった。

 申請窓口になった労働組合の担当者は「本人から事故状況を詳しく聞き、不自然でないかチェックしているが、制度上、現場の調査までは求められていない」と説明。申請書に写真などを添える義務もなく、医師の診断さえあれば、本人の説明に頼っているのが現状だという。 (福岡範行)

 

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