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【社会】

松戸女児殺害 同級生の父 「リンは家族」遺族に寄り添う

「いつまでも泣いてはいられない」と話す渡辺広さん=千葉県松戸市で

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 昨年三月、千葉県松戸市立小学校三年生だったベトナム国籍のレェ・ティ・ニャット・リンさん=当時(9つ)=が殺害された事件の裁判員裁判が四日、千葉地裁で始まる。リンさん一家と家族ぐるみの付き合いだった松戸市の住宅リフォーム業渡辺広(ひろし)さん(46)は、事件後もリンさんの遺族に寄り添い続けている。 (黒籔香織)

 「リンは家族。裁判で真実を知りたい半面、事件を思い出してしまいそうでつらい」。初公判を控えた五月下旬、渡辺さんは取材に、そう漏らした。

 リンさんと渡辺さんの長男は同じ小学校の同級生だった。小学校の修了式があった昨年三月二十四日午前、リンさんが登校していないと妻(45)から聞いた渡辺さんは仕事を打ち切り、東京都内の職場から松戸に戻り、近くの公園などでリンさんを捜した。

 二日後の三月二十六日朝、同県我孫子市の排水路脇でリンさんの遺体が見つかった。その日の夜、リンさんの自宅を訪れた渡辺さんは、リンさんの父親レェ・アイン・ハオさん(35)を無言で抱き締めることしかできなかった。

 リンさん一家は二〇一五年十二月、川崎市から引っ越してきた。リンさんは当時二年生だった長男のクラスに編入し、家が近くの渡辺さん宅に遊びに来るようになった。

 リンさんの母親(31)と弟(4つ)がベトナムに一時帰国した際には、ハオさんが仕事から帰宅するまでの間、渡辺さん宅でリンさんを預かるなど、渡辺さんにとって、リンさんがいる光景が当たり前だった。

 渡辺さん一家は事件直後から、リンさんの葬儀や弁護士との話し合いなどをサポートした。「やらなければならなかった。他にやる人もいなかった」。一方で、渡辺さんの家族は「どうしたら防げただろう」と自責の念に駆られたという。

 昨年五月の被告の起訴後、ハオさんは極刑を求める署名活動を始めた。勧めたのは渡辺さんだった。署名は国内外で約百十六万筆に達した。一緒に街頭に立ったり、集まった署名を数えたり、今年一月と四月に千葉地検に署名を提出するのも手伝った。

 事件後、週に数回は互いの家で食事をするのが習慣になった。笑顔も見られるようになり、ハオさんら家族を見て「強いな」と感じる。初公判の日はハオさんに付き添い千葉地裁に行くつもりだ。「彼らも前を向いているし、いつまでも泣いてはいられない。できることを協力していきたい」

レェ・ティ・ニャット・リンさん=父親のレェ・アイン・ハオさん提供

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◆4日初公判 被告側全面否認へ

 殺人罪などで起訴された、リンさんが通った小学校の元保護者会長渋谷恭正(やすまさ)被告(47)の初公判は四日午前十時から、千葉地裁で開かれる。捜査関係者によると、被告は捜査段階で黙秘をしており、初公判では起訴内容を否認し、全面的に争うとみられる。

 起訴状などによると、昨年三月二十四日、千葉県松戸市の自宅周辺で登校途中のリンさんを軽乗用車に乗せて連れ去り、首を圧迫するなどして殺害、同県我孫子市の排水路脇に遺棄したとされる。

 

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