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【社会】

加計、「虚偽報告」を謝罪 あいまい説明 首相頼み鮮明に

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 愛媛県今治市に開設した獣医学部を巡り、安倍晋三首相と加計(かけ)孝太郎理事長が面会したと伝えていたのは虚偽だったとして、五月三十一日に県と市に謝罪した加計学園。面会が本当にうそだったのかどうかはさておき、事務方トップらのあいまいな説明からかえって鮮明になったのは、首相の威光をかさに学部開設を進めようとした学園側の思惑だ。 (中沢誠)

 「獣医学部を何とか形にしたくて、たぶん、こういう話をしたと思う」。市への謝罪後、学園の渡辺良人事務局長は、報道陣から架空の面会話を伝えた動機を問われ、こう答えた。

 学園が五月二十六日に報道各社にファクスしたコメントでは、「当時は獣医学部設置の動きが停滞していた」として、「構造改革特区から国家戦略特区に切りかえれば活路を見いだせるのではないかと考え、実際にはなかった総理と理事長の面会を引き合いに出した」と説明していた。

 虚偽報告について渡辺氏の説明は「三年前のことでよく分からない」「言葉までは覚えていない」と煮え切らない。報道陣から「首相との面会で県や市を動かそうとしたのでは」と問われると、「頑張りましょうという意味で言ったと思う」と返した。あいまいな回答を続けながらも、加計氏の関与だけは「指示は全くない」と言い切った。

 県は五月二十一日に、学部新設を巡って二〇一五年二月に首相と加計氏が面会した、という学園の報告を記した新文書を参院に提出した。学園のコメントや渡辺氏の説明はこれを受けたものだが、文書には「加計学園では、新潟市で提案されている獣医学部設置が政治主導により決まるかもしれないとの危機感を抱いており、学園理事長が安倍総理と面談する動きもある」との記載もある。首相面会が事実かどうかにかかわらず、県と市を動かすために、学園が首相の地位を利用しようとしていたのは確実だ。首相は国会で、加計氏との関係について「政治家になる前からの友人だが、私の地位や立場を利用して何かを成し遂げようとしたことはない。相手の立場を利用するなら友人とは言えない」と繰り返し答弁しているが、学園のコメント通りなら、加計氏に裏切られた格好だ。

 学園関係者の一人は「理事長に断りもなく、渡辺氏が勝手に首相の名前を使うことはありえない」と内部事情を打ち明け、こう続けた。「学園の説明は獣医学部を開設するために、安倍さんを利用していたことを白状したようなもの。語るに落ちた、ですよ」

◆事務局長の渡辺氏 加計理事長の右腕

 加計学園の渡辺良人事務局長の名は、獣医学部開設に関する文部科学省や愛媛県の文書にたびたび登場する。柳瀬唯夫首相秘書官(当時)と首相官邸で面会した学園側の人物として、県文書に記載されているのも渡辺氏だ。

 複数の学園関係者によると、渡辺氏は加計孝太郎理事長の右腕として学園の経営を事実上、取り仕切っている。獣医学部が開設した愛媛県今治市出身で、五月三十一日に県や市を訪ねた際、報道陣に「友人の地元県議から大学誘致の相談を受け、若者が集まって活気が出るような今治にできないものかと考え、獣医学部を構想した」と、自らが学部開設のきっかけを作ったことを明かした。

 

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