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【社会】

神鋼本社など捜索 約40年、製品データ改ざんか

神戸製鋼所の東京本社に家宅捜索に入る東京地検の係官ら=5日午前10時8分、東京都品川区で

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 神戸製鋼所の製品データ改ざん問題で、東京地検特捜部と警視庁捜査二課は五日、不正競争防止法違反(虚偽表示)の疑いで、神鋼の東京本社(品川区)などに家宅捜索に入った。日本のものづくりへの信頼を失墜させた問題は刑事事件に発展。改ざんは一九七〇年代から組織ぐるみで不正を繰り返していた疑いが持たれており、特捜部などは押収資料の分析や関係者の事情聴取を通じて全容解明を進める。

 神鋼が三月に公表した最終報告書によると、国内外の二十三の製造拠点で、アルミや銅製品などの強度や耐力といった品質データを改ざん。公的規格や顧客の求める基準を満たさないにもかかわらず、国内外の六百社以上に出荷していた。対象製品は航空機や新幹線などにも使われていた。

 不正には執行役員を含む約四十人が関与。元執行役員ら二人は役員就任前に自ら不正を行い、その後も不正が続いていることを認識していたという。改ざん行為は担当者の交代時に引き継がれていたといい、特捜部などは組織ぐるみによる不正の可能性が高いとみている。

 製品の出荷先には米航空機大手ボーイング、米自動車大手のゼネラル・モーターズ(GM)なども含まれ、米司法省が神鋼側に関連書類の提出を要求。カナダでは損害賠償請求訴訟も起こされ、国際問題に発展している。

 神鋼東京本社の広報グループは「捜査に対し、真摯(しんし)に対応している」とコメントした。

◆「組織ぐるみ」解明焦点

<解説> 神戸製鋼所の製品データ改ざんは、組織ぐるみの不正が約四十年間にわたり常態化していた疑いが持たれている。捜査では、不正の発端や指揮系統などをどこまで解明できるかが焦点となる。

 神鋼が公表した最終報告書によると、不正が行われた多くの製造拠点では、顧客が求める仕様を満たした製品を安定的に製造できない状況が続いていた。製品全てを再検査などした場合、納期を守れず、顧客から損害賠償を求められたり、他社に乗り換えられる恐れがあることなどから不正に手を染めたという。

 日本のものづくりへの信頼を揺るがした同様のデータ改ざんは、近年、東洋ゴム工業や三菱マテリアル、東レでも発覚。東洋ゴムは刑事事件となり、法人としての子会社は有罪判決を受けたが、元社長ら十八人は立件が見送られ、不起訴処分となった。

 ある捜査関係者は「東洋ゴムと比べ、神戸製鋼の違反行為はかなり長年のため、誰が言い出したかは特定が難しい可能性がある」と指摘する。約四十人が関与していたとされるほか、不正への関与の程度は従業員ごとに異なり、悪質さや目的などで同一の認識を取るのも難しく、立件のハードルは高いとみられる。

 さまざまな種類の不正の中から、時効を考慮しつつ、どの部分を立件するのかも捜査の課題になる。 (蜘手美鶴)

 

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