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【社会】

改ざん「悪質で大規模」 神鋼捜索 海外への影響も考慮

神戸製鋼所東京本社を出る、家宅捜索の押収物を積んだとみられる車=5日夜、東京都品川区で(一部画像処理)

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 神戸製鋼の製品データ改ざん問題で、東京地検特捜部と警視庁捜査二課は五日、不正競争防止法違反(虚偽表示)の疑いで、神鋼の東京、神戸両本社、真岡製造所(栃木県真岡市)など五カ所を家宅捜索した。大手メーカーによる改ざんが相次ぐ中、海外への影響なども踏まえ、強制捜査に着手したとみられる。ただ不正は四十年にも及び、指揮系統の解明など捜査のハードルは高い。(蜘手美鶴、福岡範行、奥村圭吾)

 東京本社(品川区)では、東京地検の係官らが五日午前九時すぎ、捜索に入り、午後九時二十分ごろまで半日にわたって続いた。

 「規模と悪質性の大きさだ」。捜査関係者は、強制捜査に乗り出した理由を説明する。大手素材メーカーでは昨秋以降、三菱マテリアルや東レでも改ざんが発覚したが、両社はグループ会社での改ざんだった。

 これに対し、神戸製鋼が公表した最終報告書によると、同社の改ざんは一九七〇年代から始まり、携わったのは本社の執行役員ら約四十人に上る。製品が顧客の求める仕様を満たさない場合、検査結果のデータを改ざんした上で合格品として六百社以上に出荷していた。

 「顧客と約束した性能を満たさない製品全てを再検査すると、納期を守れず、他社に乗り換えられる恐れがあった」。調査に対し、社員らはこう弁明した上で、「公的規格は守らねばならないが、顧客仕様は絶対ではない」と説明。コンプライアンス(法令順守)の意識の鈍さも踏まえ、捜査に乗り出したもようだ。

 さらに、別の捜査関係者は強制捜査の理由について「国策だからだろう。国際的に日本もちゃんと捜査していることを見せないといけない」。

 製品の出荷先には、米航空機大手ボーイング、米自動車大手のゼネラル・モーターズ(GM)なども含まれ、米司法省が神鋼側に関連書類の提出を要求。カナダでは損害賠償請求訴訟も起こされ、国際問題に発展しているからだ。

 一方、指揮系統の解明などの捜査は難航する可能性がある。神鋼の最終報告書では、執行役員らについて「不正の存在を認識していた」と認定しつつ、経営陣の指示があったかどうかは言及を避けている。

 また、製品の出荷先の企業のほとんどは、一定の安全性は確保できたとして、取引は継続している。このため改ざんがどこまで悪質だったのか、捜査当局内で評価も分かれる可能性がある。約四十年の不正の中で、立件対象は公訴時効にかからない最近の五年間に限られるが「どう事件として切り取ることができるか、これから捜査することになる」(検察幹部)という。

 

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