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【社会】

女児SOSに衝撃 目黒虐待死つづったノート

七夕の会でスイカを食べる船戸結愛ちゃん=2016年7月、香川県善通寺市で(提供写真)

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 「胸が締め付けられる」「救えなかったのか」。東京都目黒区で、両親の虐待を受けて亡くなった船戸結愛(ゆあ)ちゃん(5つ)がつづったノートの存在が6日、明らかになった。両親に宛てた「ゆるしてください」という鉛筆書きの文字。結愛ちゃん一家の知人、教育関係者らは声を詰まらせた。(木原育子、加藤健太、内田淳二)

 六日、警視庁捜査一課が結愛ちゃんの両親逮捕を発表し、自宅アパートで発見したノートの文章の一部を小林敦課長が読み上げた。「五歳の子には到底耐えられない苦痛だっただろう」。声を震わせ、ハンカチで目元を押さえた。

 結愛ちゃんは、父親雄大容疑者(33)の実子ではなかった。一家が香川県善通寺市に住んでいた二〇一六〜一七年、児童相談所「香川県西部子ども相談センター」(丸亀市)が虐待の疑いを把握し、結愛ちゃんを二度、一時保護した。県警も雄大容疑者を二度、傷害容疑で書類送検(いずれも不起訴)していた。

 結愛ちゃんの文章を報道で知った県西部子ども相談センターの久利(くり)文代所長は、取材に「何でも自分一人でしなさいと厳しくしつけられ、遊ぶのもダメと言われていたのかな…。救えずに申し訳なかった」と後悔を口にした。

 善通寺市の森正司教育長も「ここまで追い込まれていたのかと涙が出た。こんな思いをさせて…。胸が締め付けられる」。

 同市の幼稚園で、結愛ちゃんと子どもが同級生だった三十代の女性は「助けてあげられなかったのか。同じ年の子を持つ親として、とてもつらい。結愛ちゃんも四月から小学校に通っていたはずなのに…」とショックを隠せない様子。

 一家は今年一月に目黒区に転居した。書類を引き継いだ品川児相が家庭訪問したが、結愛ちゃんには会えなかった。雄大容疑者は三月二日午後六時ごろ、「娘が数日前から食事を取らず吐いて、心臓が止まっているようだ」と一一九番。夜に死亡が確認された。

 品川児相の林直樹所長は「こういう気持ちを、生きているうちにしっかり受け止めなければいけなかった」と言葉を絞り出した。「重く受け止めている。同じことがないようにしっかり検証したい」

 教育評論家の尾木直樹さんは「読み進めるのがとてもつらい文章」と評した。「本来なら自分の興味から言葉を楽しんで習得する時期だが、ネグレクト(育児放棄)される中で、怖くて一生懸命覚えたのでしょう。勉強という名目の虐待。どれだけ苦しかったか」と推し量った。

 NPO法人「児童虐待防止協会」の津崎哲郎理事長は「児相に危機意識が足りず、後手に回っている。命がかかっているという使命感を持って対処しないといけない」と指摘した。

 不妊治療を経て三人の子どもを授かり、六日にベストファーザー賞を受賞したロックシンガーのダイアモンド☆ユカイさんは「自分のことより親に気を使っていて、子どもらしさがない文章。涙しながら読みました」と声を落とした。「しつけがエスカレートしたり、ついカッとなったりもするが、『しかる』と『怒る』は違う。子どもはモノじゃない」と語った。

 

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