東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 社会 > 紙面から > 6月の記事一覧 > 記事

ここから本文

【社会】

秋篠宮ご夫妻、日系人大会出席 「先駆者」の苦労しのぶ

第59回海外日系人大会の開会式であいさつされる秋篠宮さま=6日、米ハワイ・ホノルルで(共同)

写真

 【ホノルル=荘加卓嗣】米ハワイ訪問中の秋篠宮ご夫妻は六日(日本時間七日)、ホノルル市内で行われた第五十九回海外日系人大会の開会式に出席された。

 秋篠宮さまは十五カ国から集まった約三百人の出席者を前に「海外移住の先駆者は多くの苦労を重ね、その子孫である皆さまが多方面で活躍し、地域社会から多大な信頼を得ていることは誠に喜ばしく、心強いものを感じています」とあいさつした。

 大会は例年、日本国内で開かれるのがほとんどだが、今年がハワイ移住開始から百五十年に当たることから同地で開催された。海外日系人協会(横浜市)によると、世界の日系人の数は約三百八十万人(二〇一六年、推定)。ご夫妻は、その後、高齢者施設を訪れ、日系人の入所者と交流。ご夫妻が声をかけると「言葉もございません」と涙を流す人もいた。

◆若い世代、皇室への意識変化

 秋篠宮ご夫妻は米ハワイ州で日系人関連の式典に連日出席され、交流を重ねている。祖国を離れて暮らす日系人の心のよりどころとなり、それに応える形で心を寄せ続けてきた皇室。ただ世代が進み、その関係にも変化が見える。

 四日(日本時間五日)、ホノルル市内の博物館で、ご夫妻を出迎えた六世の中学生、タリア・サンチェスさん(13)は「両親が日系なので、皇室の存在は知っている。天皇陛下の退位も」と英語で得意げに話した。

 ブラジル・サンパウロ出身の日系二世、石井由貢(ゆみ)さん(55)=浜松市非常勤職員=は、祖母が朝になると二組の写真に手を合わせて拝み、あいさつしていた姿を思い出す。写真の二組の夫妻が、昭和天皇、香淳皇后と天皇、皇后両陛下だと教えられたのは中学生のころ。祖母は母らとともに一九五〇年代後半にブラジルに渡り、コーヒー農園などで働き、ブラジルで亡くなった。石井さんは「日本に帰るめどもなく、日本の文化にすがりつくように拝んでいたのでは」と推し量る。

 天皇陛下は二〇〇八年のブラジル移住百年を記念する式典で「日系の人々がさまざまな分野で活躍していることを頼もしく感ずるとともに、これまでに努力を重ねてきた日系の人々の労苦に深く思いを致すのであります」とねぎらった。日系人大会には、毎年皇族が出席。一九九九年の四十回と二〇〇九年の五十回の節目には両陛下が出席し、心を寄せ続けてきた。

 一概に日系人と言っても、住む地域や世代によって背景が異なり、皇室観や関心度も多様。世代が進むにつれてそれは広がっている。四日、博物館で秋篠宮ご夫妻を待っていた日系四世の男性(58)に今から訪れる人を知っているか尋ねると「知らない。エンペラー?」と無邪気に日の丸を振っていた。

 米国の日系人社会に詳しい立命館大学国際関係学部の南川文里(ふみのり)教授(社会学)は「北米の日系人社会は戦前、天皇制を中心としたナショナリズムに一体化したため、戦後はこれをタブー視するのが主流となり、アイデンティティーの柱のような存在ではなくなった。他方で南米に多い戦後移民や各地の沖縄出身者の場合、それぞれ皇室への感情はさらに複雑だろう」と指摘。「特に若者に皇室は身近な存在ではない。彼らが来年の退位を控え、どのような反応をするかは興味深い」と話す。

 

この記事を印刷する

東京新聞の購読はこちら 【1週間ためしよみ】 【電子版】 【電子版学割】

PR情報