東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 社会 > 紙面から > 6月の記事一覧 > 記事

ここから本文

【社会】

無差別殺傷事件10年 「安全なアキバ」求め 商店主ら巡回/車突入防ぐ柵も

秋葉原の歩行者天国の会場を警戒するパトロール隊(中)=東京都千代田区で

写真

 東京・秋葉原で二〇〇八年六月、七人が死亡、十人が重軽傷を負った無差別殺傷事件から、八日で十年。地元の人たちには、悲惨な事件の記憶が今も残る。毎週日曜日の歩行者天国(ホコ天)では、商店主らの団体がパトロールし、警視庁は車の突入を防ぐ防護柵を設置。東京五輪・パラリンピックを控え、安全とにぎわいを両立させようとする取り組みが続く。 (神田要一)

 六月最初の日曜だった三日。JR秋葉原駅近くのホコ天では、スマートフォンで写真を撮る若者や、街を見渡しながら歩く外国人らの中に、青いベストを着た商店主らの姿が。自転車で走り抜けたり、路上でパフォーマンスをしたりしないよう注意を呼びかけていた。警察官の姿も目立ち、交差点など六カ所にパイプ型の防護柵が並んでいた。

 買い物していた葛飾区の会社員島田洋平さん(37)は「あんな事件があったから、やっぱり安全は気になる。車で突っ込むような人は何があってもやる意思があるはずだから」と話した。

 十年前の事件当日も日曜だった。多くの人が行き交うホコ天。千代田区外神田三の交差点付近で、加藤智大(ともひろ)死刑囚(35)の運転するトラックが突っ込み、車から降りると、ダガーナイフで通行人を次々と刺した。

 事件後、ホコ天は中止に。「怖い街」のイメージをぬぐい去ろうと、地元町会や商店街は千代田区と話し合い、防犯パトロールをしたり、違法駐車をしないように呼びかけたりする「秋葉原協定」を独自に制定。二年七カ月後の一一年一月、ホコ天は復活した。

 地元商店街などでつくる秋葉原地域連携協議会「アキバ21」の大塚実会長(84)は「安全で安心な街を取り戻すため、みんな何とかしなければという切実な思いだった」と振り返る。

 アキバ21は毎週日曜、約三十人態勢でパトロールを続ける。街頭には区の補助金をもらい約三十台の防犯カメラも設置。家族連れの人たちも増えた。大塚さんは「街のにぎわいにホコ天は欠かせない。安全な街に戻ったけど、いつ何が起きるか分からない。油断も安心もできない」。

 欧米では近年、トラックで人混みに突入する形の無差別テロが相次ぐ。このため、警視庁は三月、ほかの地域に先駆け、秋葉原のホコ天に防護柵を導入した。これまでは等間隔に車止めを置いていたが、より確実に車の侵入を防ごうと、地元に設置を働き掛けた。今後、銀座や新宿のホコ天でも導入を検討している。

 警視庁警備部の福田託也危機管理対策官は「多くの人が集まるソフトターゲットはテロの標的になり得る。官民で協力して対策を取り、安全を守りたい」と気を引き締める。

 

この記事を印刷する

東京新聞の購読はこちら 【1週間ためしよみ】 【電子版】 【電子版学割】

PR情報