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【社会】

袴田さん「うそだ」 闘い52年 終結見えず姉「残念」

散歩中に「再審取り消し」の知らせを支援者から聞かされる袴田巌さん(左)=11日、浜松市浜北区の岩水寺で

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 一度は開きかけた再審への扉は閉ざされた。東京高裁が十一日、袴田巌(はかまだいわお)さん(82)の再審を認めない決定をすると、裁判所前に集まった支援者らから「冤罪(えんざい)だ」「なんで」などと怒りの声が上がった。五十二年にわたって闘ってきた姉の秀子さん(85)は「残念」とする一方で、袴田さんが再収監を免れほっとした様子。秀子さんと暮らす浜松市で決定内容を知らされた袴田さんは「そんなのうそなんだよ」と語った。 (山田祐一郎、角野峻也)

 「残念でございます」。袴田さんの姉秀子さんは、再審開始を取り消す決定が出た直後の午後一時半すぎ、東京高裁前でマイクを握り、数十人の支援者を前に声を震わせた。

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 西嶋勝彦弁護団長は会見で「結論ありきの決定だ。いったい四年間何をやってきたのか」と憤りを見せ、最高裁への特別抗告を表明した。

 袴田さんは、支援者から上京を勧められたが、「用がないから行かないよ」と固辞。この日は浜松市内でテレビを見たり、寺を訪れたりして過ごした。報道陣が取り消し決定への受け止めを聞くと、「そんなのうそなんだよ」「事件がねえんだから」と突っぱねるように語った。

 「巌は精神的に不安定で(この日の決定を)本人は半分分かっていて、半分くらいは分からない状態」。秀子さんは拘禁症状が残る弟を案じつつ、高裁が拘置の執行停止を認めたことには「身柄は拘束されないと(決定に)書いていて一安心」と漏らした。

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 静岡地裁の再審開始決定を受けて四十八年ぶりに釈放された袴田さん。釈放から四年がたったが、自身の世界に閉じこもることが多く、話もかみ合わない。そんな中、今年五月、支援者が静岡市内に設置したメッセージを書き込める壁に「幸せの花」と言葉を書いた。

 「(逮捕された)三十歳から縁遠かった『幸せ』という言葉がやっと出てきたんです」と秀子さん。回復の兆しが出てきた弟との長い闘いの日々を振り返り、「事実を調べれば分かること。現実を正しい目で調べてもらいたい」と特別抗告への願いを込めた。

 

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