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【社会】

<取材ファイル>認めぬ態度が「つらい」 上司からセクハラ、前橋市職員

セクハラ被害を訴える女性が勤める前橋市役所

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 各国の女性らがセクハラ被害を告発する運動「#MeToo」(「私も」の意)が広まり、国内でも被害の訴えが相次ぐ中、上司の男性による被害を訴え出た四十代の女性が前橋市役所にいる。女性は、一年更新の嘱託職員。上司は懲戒処分を受けたが、女性は被害に悩み続け、一年半が経過した今も明確にセクハラを認めようとしない上司の態度に「つらい」と明かす。 (菅原洋)

 「嘱託のため内部には訴えにくく、外部も回ってみたが、取り上げてくれず、遠回りしてきた」。女性は振り返る。

 上司で管理職の男性から被害を受けたのは、二〇一六年十二月に居酒屋で開かれた職場の忘年会。飲酒した上司が座っていた女性の背後に密着し、胸をもんだ。その行為を目撃した同僚三人が指摘すると、上司はやめたという。

 「あまりのショックで、何カ月も放心したような状態だった」。翌一七年三月にあった職場の宴会でも、酒を飲まない女性は途中で合流した上司から車で送るよう頼まれ、車内で上司からキスされたという。

 精神的な苦痛が深まる中、同年六月には上司から職場のパソコンにメールが届いた。一八年度の職員の配置について「嘱託職員を含む人員の見直しを協議中です」。メールは職場の全員に送られていたが、一年ごとに雇用を更新している女性は、セクハラを訴え出れば、更新が難しくなると受け止めた。

 そんな女性の意識を変えるきっかけとなったのは、同年の秋ごろから広まった「#MeToo」だ。「私のように黙っていた女性たちが声を上げている」。しかし、知人の地方議員に紹介され、自治労に相談しても、正規ではない嘱託には協力してくれなかった。

 女性が意を決して市にセクハラ被害を訴えたのは今年二月。上司の別の不祥事で職場に調査が入った際だった。ようやく今月十二日、上司は停職九カ月の懲戒処分と一般職への降任となった。女性は五月から警察にも相談している。

 本紙の取材に、上司は胸をもんだことに「記憶はないが、謝罪したい」とし、キスについては「女性に求められるままに応じてしまった」と自分に非はないと主張する。これに対し、女性は「一度セクハラ被害を受けた後に、私からキスを求めるわけがない」と精神的に二次被害を受ける。

 前財務次官や、東京都狛江市の前市長のセクハラ問題でも、財務省や市がセクハラを認定したのに、加害者側が否定や明確に認めないケースが相次ぐ。

 「加害者が被害者に責任転嫁するのは、精神的にきつい」。女性は上司らの姿勢をこう批判した上で「前橋市の処分は軽く、警察への相談で最後までやり遂げたい」と気丈に語った。

 

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