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【社会】

学校の塀が通学路襲う 死亡女児、当番で10分早く登校

地震で倒壊し、女児が下敷きになった寿栄小のプールのブロック塀を調べる警察官ら=大阪府高槻市で、本社ヘリ「おおづる」から

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 安全なはずの通学路に設けられた塀が「凶器」となった。十八日朝、女児ら四人が犠牲となった大阪北部地震。通学時間帯の大きな揺れは、塀を倒し、学校に向かう女児と、子どもたちの笑顔を見守るはずだったお年寄りの、尊い命を奪った。役所は塀が違法建築だったと認め、懸命に救出しようとした近所の人々は「何であんな物があったのか」と無念の表情を浮かべた。

 大阪府高槻市の寿栄(じゅえい)小学校で、外周に設置されたブロック塀の下敷きになって、四年生の三宅璃奈(りな)さん(9つ)が死亡した。

 登校が始まる時間だった。地震直後、外に飛び出した近所の女性(67)は、教職員とみられる女性が発した悲鳴が耳にこびり付いている。「ぎゃー」。三宅さんが下敷きになったのを見て、学校に駆け込んで行ったという。

 塀の下から、女児の脇腹から下が見えた。「ピンクのものを身につけていたので『女の子だ』と思った」。近所から二、三人が集まり、自動車用のジャッキで塀を持ち上げようとしたが、重くて動かなかった。

 近所の男性(72)は、外に出た妻が「あーっ!」と叫ぶのを聞いて飛び出し、レスキュー隊の到着まで、塀を持ち上げるのを手伝った。だが「びくともしない。女児の肌が青くなってきて、かわいそうだった」。周囲で「早く救急車を呼べ」と怒号が飛び交った。

 救助の様子を見ていた女性(67)は、駆け付けた救急隊員が、女児の脈を測った後、手で「×」をつくったのを見た。「だめだと思った」。レスキュー隊員が電動カッターでコンクリートを切断し、女児を救出するまで、一時間ほどかかったという。

 女児は、児童会役員に当たる「代議員」を務めていた。普段は一年生の弟と一緒に登校するが、この日は代議員としてあいさつ運動に参加するため、他の児童より十分ほど早く、一人で登校していた。倒壊現場を目撃した別の児童の報告を受け、校門近くにいた警備員が救急通報した。

 ブロック塀には花の絵が描かれていた。卒業生の中学二年男子によると、小学校の創立四十周年を記念して数年前に、在校生と保護者で植物の絵を描き、手形で花をかたどっていた。

 三宅さんと同級生の山下聡友(そうすけ)君(9つ)は「頭が良くて、ほぼ全教科が得意。算数などを同級生に教えていた」。三宅さんとよく一緒に遊んだ中学二年女子は「遊ぼうと話し掛けてきてくれた笑顔が印象に残っている。元気で明るい子だったのに」と語った。 (塚田真裕、勝間田秀樹)

 

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