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【社会】

<地域のチカラ>千葉・柏 手賀地域 農業+観光で里山再生

広々としたソラマメ畑で収穫体験を楽しむ親子=千葉県柏市で

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 自然豊かな里山が広がる千葉県柏市東部の手賀地域で、農業と観光を結び付けた体験型のアグリビジネスが盛んだ。後継者不足に悩む農家を支え、地域の衰退を防ごうと二年前、官民共同の協議会が誕生。旬野菜の収穫バーベキューや自然体験、生物観察など、里山の魅力を生かして域外からの交流人口を増やし、農業の活性化と未来につながる地域づくりを模索している。 (山本哲正)

◆取れたてを頬張る

 もいだばかりのソラマメが鉄板の上で、焦げ目を付けていく。子どもたちは「さっき、取ったのだ!」と目を輝かせた。手賀沼フィッシングセンターのバーベキュー場で、家族連れらが収穫体験とバーベキューを楽しんだ。

 JR常磐線と成田線で東京・上野から約五十分。湖北駅からバスと徒歩の二十分ほどでセンターに着く。東京都足立区から来た渡辺優子さん(43)は、ソラマメやトマトを頬張る娘の海優(みゆ)ちゃん(3つ)を見ながら、「普段は食べたがらないのに。自分で収穫したからかな」と目を細めた。

 ソラマメは、鹿倉健次さん(58)の畑で一面、鈴なりにぶら下がっている。鹿倉さんの長男の孝男さん(36)は「目の前で野菜を手に取ってもらうと、より良い野菜を作りたいという思いが強くなる。ただ作って出荷して、という農業は変わっていく」と話した。

◆聞き取りで危機感

 手賀地域は、都心に最も近い天然湖沼として知られる手賀沼沿いに広がる。この地域を含め、柏市内の農家は後継者不足などで減り続け、二〇一五年は約千四百軒と四十年前の半分以下になった。

 市は地域ぐるみで農家を支え、里山の荒廃を防ごうと、シンクタンクや道の駅など五つの民間団体・企業と協力して手賀沼アグリビジネスパーク事業推進協議会を設立した。

 副会長は、茨城県龍ケ崎市出身の油原祐貴(ゆはらゆうき)さん(38)。リクルート入社後、柏市の情報を集めたフリーマガジン創刊に参画したのがきっかけとなり、地域に愛着を感じ〇四年に移住し、一一年に地元でイベント企画会社を設立した。市から農家の聞き取り調査を引き受け、農業経営や後継者問題の深刻さを知った。

 「ただ農家の数が減るだけではない。農村のコミュニティーが崩れ、耕作放棄地が増えると、貴重な景観が荒れると分かった」。自身の会社で里山ツアーを企画した手腕を買われ、里山再生に向け白羽の矢が立った。

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◆新しい農泊を計画

 「以前から農業体験イベントはあったが、楽しさが点在していた。その点を線や面にしたかった」と油原さん。収穫体験は地元の農業支援会社「農菜土(のうさいど)」が行っていたが、「取れたてを食べる楽しみを足そう」とバーベキューを加えた。

 協議会会長で道の駅しょうなんの石橋良夫所長(62)は「油原さんは若者が興味を持つ企画を立てるのがうまい」と舌を巻く。自然体験では、原っぱや川で遊んだり、小屋を作ったりする。星空や夜の生き物を観察するキャンプも行った。

 油原さんらが現在進めているのが新しい農泊(のうはく)。農家の負担を軽減してキャンプ場に宿泊しながら農作業や農家の暮らしを体験する。「大切なのはただの体験で終わらせず、農家さんと都市に住む人をつなげ、距離を縮めていくことです」

<手賀地域の観光> 手賀沼湖畔に農産物を直売している「道の駅しょうなん」があり、地元野菜のレストラン「SHONAN(ショウナン)」や手賀沼自然ふれあい緑道、ハスの群生地などが点在する。沼東端の「手賀沼フィッシングセンター」は釣り堀、ドッグラン、カヌーなどが楽しめる。沼を巡るレンタサイクルは7カ所で貸し出している。

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 「地域のチカラ」では、地域再生のヒントになるような各地の取り組みや人々の奮闘ぶりを随時紹介します。

 

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