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【社会】

富山2人死亡 両手に刃物 警官に突進 発砲後に小学校侵入

市立奥田小付近を調べる捜査員ら=26日午後5時3分、富山市で、本社ヘリ「おおづる」から

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 何が目的だったのか−。富山市の閑静な住宅街で二十六日、警察官が襲われ拳銃を奪われた事件。元自衛官の島津慧大(けいた)容疑者(21)=殺人未遂容疑で逮捕=は小学校付近で警備員に発砲、敷地内に侵入した。「教室から出ないように」。緊迫した声が校内放送で呼び掛ける。身柄を確保されるまでに警察官を含め発砲音は複数回響き渡り、住民は言葉を失った。 

 「警察官が刺された」。富山市久方町の奥田交番から反対側にある美容室の男性店長(46)のところに、年配の男性交番相談員が慌てた様子で駆け込んできた。相談員は衣服や手に血が付いており、「交番の中にまだ犯人がいる」と話した。

 店長が携帯電話で一一〇番や一一九番をしながら交番に向かうと、床に血痕があったが、刺された交番所長の稲泉(いないずみ)健一警部補(46)や島津容疑者の姿はなかった。島津容疑者は既に、奥田小に向かっていたとみられる。

 小学校近くで事件を目撃した男性(59)によると、警備員の中村信一さん(68)は正門の外にある駐車場で撃たれた。少なくとも二回の発砲音がし、中村さんは肩の辺りを押さえ、うずくまるようにその場に倒れた。

 島津容疑者は白っぽいシャツの右側を血だらけにし、その後、正門から小学校の敷地内に走って侵入した。

 県警によると、警察官が「止まれ、撃つぞ」と警告したが、島津容疑者は刃物を両手に持ったまま突進してきたため、警察官二人が一発ずつ発砲。取り押さえた。

 富山市教育委員会には午後二時半ごろ、富山中央署から「奥田小の近くに刃物を持った不審者がいる」と連絡が入った。同小では、教諭らが児童約四百人を体育館に誘導、避難させた。島津容疑者を確保したと警察官から聞き、午後四時から、保護者に児童の引き渡しを始めた。

◆警部補・稲泉さん「温厚で仕事熱心」 警備員・中村さん児童の安全見守り

 死亡した富山中央署奥田交番所長の稲泉健一警部補は、元銀行員で一九九二年に県警に入り、高岡署の派出所などに勤務。一三年に警部補に昇任し、奥田交番には昨年三月から勤務していた。

 かつて同じ署で勤務した警察官は「悔しくてならない」と語り、「温厚で、もくもくと仕事に励んだ。犯罪や悪い人は許さず、警察官らしい男だった」。拳銃を奪われたことは「重い意味があると言われて警察官は携帯している。市民の命を奪われ、申し訳ない」と話した。

 亡くなった警備員の中村信一さんは、学校内の耐震工事に伴い、トラックが出入りする正門に立ち、児童が事故に遭わないよう見張りをしていた。教職員や児童にあいさつし、保護者の車も誘導した。飯野義明校長は「安全面に配慮してくれる人だった」と語った。

 近所の住民によると、中村さんは妻と妻の両親と住んでいた。男性は「奥さんのパートの送り迎えをしたり、家の草むしりをしたり、小学生ぐらいの孫二人と遊ぶ姿を見た。あいさつする程度だったが、優しい人だったと思う」と話した。

 

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