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【社会】

バスタ新宿工事、事故現場偽り労災申請 下請け、大林組に配慮か

 JR新宿駅に直結する国内最大級のバスターミナル「バスタ新宿」建設工事で二〇一二年、男性作業員(58)が重傷を負った際、建設大手「大林組」(東京)の下請け企業が事故現場を自社事務所(川崎市)と偽って労災申請していたことが一日、分かった。大林組の下請け工事との説明はなく、労働基準監督署は現場調査に入らなかった。

 男性が加入する労組「神奈川シティユニオン」は、労基署調査で工事が遅れないよう元請けに配慮した悪質な虚偽申請だと指摘。男性は共同通信の取材に「会社から『大林組は巻き込まない』と言われ、仕事を失うのが怖くて従うしかなかった」としている。

 この企業は建設重機会社「大京建機」(東京)。神奈川県労働委員会に提出した六月十二日付の陳述書で大京側は虚偽の申請を認めた上で、個人事業主の「一人親方」として請負契約している男性から虚偽を求められたと反論している。

 男性は一二年一月二十二日未明、工事現場でクレーンの組み立て作業中に転倒、腰を強く打って腰椎を圧迫骨折した。同僚作業員が約一時間半後、いったん男性を川崎市の事務所へ連れて行き、別の車に乗り換えて病院へ向かった。

 男性は労災認定で一六年四月まで休業補償を受け、後遺障害の認定を受けた。現在も左太ももがしびれ事故後、クレーンの仕事はできなくなった。男性は「すぐに治療を受けていれば後遺症はなかったと思う」と話している。

 ユニオンは男性が実質的には個人事業主とは言えず労働者であり、大京との団体交渉権など労働基本権があると申し立て、神奈川県労委が審理している。

 大京、大林組両社は共同通信の取材に対し、係争中を理由に回答を拒否した。

◆再発防止の妨げに

<神奈川シティユニオンの村山敏執行委員長の話> 工事現場で事故の責任を負う元請けに配慮し、発生場所をごまかす下請けは多い。元請けにばれないよう、労災隠しは多くの建設現場でみられるが、事故原因を究明し再発防止策の検討を妨げる悪質な行為だ。現場での労災事故扱いだと元請け企業の労災保険を利用することになるため、元請けに迷惑を掛けたくないとの意向が強くなる。

 

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