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【社会】

「次官候補」がなぜ 佐野容疑者 政界進出うわさも

文科省局長の逮捕を受け、取材に応じる林文科相=4日、東京・霞が関で

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 「信じられない」−。次官候補だった現職局長・佐野太容疑者(58)が逮捕された四日、文部科学省に衝撃が走った。東京医科大(東京都新宿区)に便宜を図り、見返りは自分の息子の不正入学。東京医科大の学生からは「裏切られた」と怒りの声も。昨年の天下り問題に続く不祥事で、教育行政への信頼失墜は必至だ。 

 エリート官僚だった佐野太容疑者は、文部科学省内で「将来の次官候補」と目され、政界進出のうわさも飛び交っていた。かつて一緒に政治家との折衝をしたことがあるという前文科次官の前川喜平氏(63)は、逮捕の一報に「え? 佐野君が?」と目を見開き、「信じられない」と首を振った。

東京医科大の正門前に集まった報道陣ら=4日、東京都新宿区で

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 前川氏が官房長だった二〇一二〜一三年、佐野容疑者は総務課長。当時は「まじめで丁寧。安心して仕事を任せられた」という。「普段は物静かだが、山梨出身ということもあり、ワインにはうるさかった」と振り返る。

 現役の文科省職員も「間違いなくエリートコースを歩んでいた」「次官になるべき人」と証言するが、佐野容疑者の下で仕事をしたことがある男性職員は「上にはいい顔をするが、面倒な仕事は僕らに押し付けてきた」と不満を漏らす。

 小杉隆元文相の娘婿で、政界進出のうわさも。出身地・山梨の知事候補にも名前が挙がった。

 同省高等局担当の審議官経験があり、本紙が今年五月、加計学園問題について省内で質問すると、目を合わさずに「その件は取材を受けない」とだけ答えた。 (池田悌一、望月衣塑子)

◆捜査対象の「私学助成金」上乗せ 年3000万円まで使途限定なし

 捜査対象となった文部科学省の「私立大学研究ブランディング事業」は特色ある研究を打ち出す私立大の私学助成金を上乗せする仕組みで、選ばれると一校あたり大学の経常費(運営費)として、年二千万〜三千万円が加算される。研究経費ではなく、大学全体への補助として支払われるため、使途が限定されない。少子化などの影響で経営難に苦しむ大学にとって使い勝手がいい制度だ。

 東京医科大は、唾液や尿から、がんや生活習慣病を簡単に検査できる未来型の検査を確立し、発症前の医療を推進すると提案。有識者による書類審査の結果、五年間の支援が決定した。

 文科省の担当者は「審査は有識者の外部委員にお願いしており、職員が不正に介入する余地はないのだが」と困惑していた。

 同事業の全体の予算は二〇一七年度で約七十九億円。私学助成金を巡っては近年、学生数など大学の規模に応じて一律に配分される一般補助の比率が減り、先進的な取り組みを行う大学を重点的に支援する特別補助が拡大される傾向にある。同事業も特別補助の一つとして前年の一六年度に始まったばかりだった。

 日本私立学校振興・共済事業団によると、東京医科大に対する国からの私学助成(経常費分)は約二十三億三千万円。このうち約一億九千万円が特別補助だった。 (岡本太)

 

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