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【社会】

「神格化進む」危惧 後継団体の動向注視 麻原死刑囚の刑執行

大勢の報道陣が集まった「ひかりの輪本部」が入居するビル=6日、東京都世田谷区で

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 オウム真理教の教祖麻原彰晃死刑囚の死刑が執行されたことで、公安関係者からは「信者の間で神格化が進むのでは」と危惧する声が聞かれ、公安調査庁などが「アレフ」などの後継団体の動向に警戒を強めている。

 公安調査庁などによると、毎年、後継団体の集中セミナーの開催に合わせ、麻原死刑囚が拘置されていた東京拘置所(東京都葛飾区)の周辺には信者が「巡礼」に訪れる。後継団体では現在も祭壇に麻原死刑囚の写真を掲げるなど影響力を持っている。

 公安調査庁関係者は「今後、後継者選びや主導権争いが本格化するだろう」とみる。麻原死刑囚の遺体は、妻か複数いる子どもら親族に引き渡される公算が大きい。「遺骨の争奪戦が起きないか注意を払っている」とし、後継団体の分裂や予期せぬトラブルに警戒を強める。

 かつてのオウム真理教で麻原死刑囚は「シヴァ神とコンタクトを取ることができるグル(指導者)」とされ、毛髪や風呂の残り湯が高額で取引された。「死んだことで絶対性が生まれ、遺骨も信者の間で取引対象となり、後継団体の資金源になりかねない」と指摘する。

 アレフが拠点とする東京都足立区入谷(いりや)の施設前には六日午前、公安調査庁の腕章を着けた職員数人が施設の様子を警戒していた。

 区によると、この施設は二〇一〇年、アレフが建物を買い取ったとの報道を受け、住民らが「足立入谷地域オウム真理教(アレフ)対策住民協議会」を発足させ、解散・撤退を求めてきた。公安調査庁の情報では五十人程度の信者が生活しているとみられる。

 同協議会の水上久志会長(73)は「あれだけの凶悪事件を起こしたのだから、一日も早く執行してほしいと思っていた。ただ、この後、アレフにどういう動きがあるか心配」。足立区の神保義博報道広報課長は「今後も警戒し、治安対策に一層取り組んでいく」とし、今後も施設からの撤退を求めていくという。

 麻原死刑囚が収容されていた東京拘置所前では六日午前、雨がぱらつく中、警察官十数人やパトカーが警戒にあたった。数十人の報道陣も集まり、通りすがりの住民らは驚いた様子で立ち止まっていた。

 教団元幹部でアレフから分派した「ひかりの輪」の上祐史浩代表(55)は六日、東京・霞が関の司法記者クラブで記者会見し、麻原死刑囚らの死刑執行について「(私は)十年以上前にアレフを脱会している。特段のかつてのような思いはない」と突き放した。一連の事件については「私も教団で重大な責任を有していた。被害者、遺族の皆さまに深くおわび申し上げたい」と述べた。

 ひかりの輪は二〇〇九年七月六日、被害者団体と賠償契約を締結している。上祐氏は「まさにその日(の死刑執行)になった。あらためて事件の被害者の皆さまへの賠償、再発防止に努めなければならないとの思いを強くしている」とも話した。

 

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