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【社会】

防犯カメラなく捜査難航 点滴中毒死 発覚から1年10カ月

西川惣蔵さん

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八巻信雄さん

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 病室でいったい何が起きたのか−。神奈川県警は七日、殺人容疑で横浜市の大口病院(現横浜はじめ病院)の看護師だった久保木愛弓(あゆみ)容疑者(31)を逮捕し、二人の高齢者の命が奪われるという特異な事件は急展開を見せた。久保木容疑者は他の入院患者の点滴への異物混入も認める供述をしており、事件はさらに拡大する様相を見せている。 

 県警は当初から、内部事情に詳しい病院関係者の犯行とみて捜査していた。ただ、同病院には当時、防犯カメラが設置されておらず、目撃証言もないため捜査は難航。事件発覚から一年十カ月かけて関係者への事情聴取を重ね、状況証拠を集めて、容疑者を絞り込んでいった。久保木愛弓容疑者が先月末からの事情聴取で、容疑を認めたことで逮捕に踏み切った。

 県警が事件を把握したのは二〇一六年九月二十日。入院患者の八巻(やまき)信雄さん=当時(88)=が死亡した際、別の女性看護師が点滴の泡立ち方に違和感を覚え、病院が県警に通報した。県警が捜査を始めると、八巻さんと、二日前の十八日に死亡した西川惣蔵(そうぞう)さん=当時(88)=の体内から同じ界面活性剤が入った消毒薬「ヂアミトール」が検出され、連続中毒死事件に発展した。

旧大口病院(現横浜はじめ病院)=7日、横浜市神奈川区で

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 その後、二人が入院していた病院四階に未使用の点滴袋五十個が残っており、うち約十個のシール状の封に小さな穴が開いているのを確認。外部から不信感を持たれることなく院内に入り込んだとは考えにくく、一階の薬剤部から四階のナースステーションに点滴が運び込まれた後、病院関係者が注射器で異物を混入したとほぼ断定した。久保木容疑者の看護服からもヂアミトールの成分を検出した。

 病院四階では、一六年七月〜九月二十日、二人以外にも入院患者四十六人が死亡し、病死と断定された二人以外の死因は特定されていない。久保木容疑者は他の入院患者二十人前後にも異物を混入したことを認めているが、多くの遺体は火葬されている。捜査幹部は「いつから犯行が始まったかを含め、全容を解明する必要がある」と話すにとどめた。 (加藤益丈、加藤豊大)

 

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