東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 社会 > 紙面から > 7月の記事一覧 > 記事

ここから本文

【社会】

西日本豪雨 倉敷・真備町 自宅に濁流、近隣の知人が犠牲

土ぼこりが舞う中、片付けに追われる岡山県倉敷市真備町地区の住民=10日

写真

 西日本豪雨で大きな被害を受けた岡山県倉敷市真備(まび)町地区は十日、太陽が照りつけ、日中の気温が三〇度を超えた。濁流にのまれた街では、汗だくになった住民らが、泥まみれの家財を家の外に運び出し、片付けに追われていた。 

 地区の四分の一が冠水し、水が引いた後の道路には泥がこびりつき、車が通るたびに砂ぼこりになって舞い上がる。至る所でブロック塀が倒れ、流木が散乱。停電が続き、信号も消えたままだ。

 堤防が決壊した場所に近い集落では、あちこちで民家が傾いていた。道路は陥没し、下水管もむき出し。「ここまでひどいとは…」。下水管を点検していた市職員が言葉を失った。

 「片付けなきゃと思っても力が抜けちゃって。復興するのに何年かかるのか。そもそも復興なんて、できるのでしょうか」。住人の平井佐代子さん(74)は、家具が散乱した自宅を前に、茫然(ぼうぜん)と立ちつくした。

 自宅に濁流が流れ込んだが、ベランダに出て一命を取り留めた。「あの家の人も、この家の人も、みんな亡くなってしまってね」。指さした先にある家では、少なくとも六人の知人が死亡した。今も安否が分からない知人もいるという。

 派遣社員の中塚浩美さん(59)は夕方になって、浸水した自宅の様子を見に来た。室内から流された冷蔵庫で玄関がふさがれ、中の様子を確認したくても入れなかった。市役所の支所も水没し、十分に機能していない。「街が今どうなっているのか、正確な情報を知りたいのに」

 家が高台にあって被害を免れた高校三年の仁宮拓紀さん(17)は、豪雨後、街の様子を見に来た。日が傾くと、多くの住民が住み慣れた家を離れ、避難所などに向かう。暗闇と静寂に包まれていく街を見て「もう自分の知っている街じゃない」と肩を落とした。 (神野光伸)

 

この記事を印刷する

東京新聞の購読はこちら 【1週間ためしよみ】 【電子版】 【電子版学割】

PR情報