東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 社会 > 紙面から > 7月の記事一覧 > 記事

ここから本文

【社会】

西日本豪雨 友人皆で捜しているよ 不明の高3、母再会信じ

警察や自衛隊が活動する脇で捜索に加わるボランティアの同級生ら=11日、広島市安芸区で

写真

 西日本豪雨で大規模な土砂崩れに見舞われ、四人が死亡し、七人が行方不明となっている広島市安芸区の集落「梅河(うめごう)団地」では、十一日も懸命の捜索が続いた。「きっと生きている」。不明者の一人、高校三年生の植木将太朗さん(18)の母親(45)は、息子との再会を信じて捜索を見守った。 (加藤健太)

 警察官や消防隊員が何度もスコップを振り上げる。集落から七百メートルほど下った橋の周辺は、大量の土砂やがれきで埋まっている。最高気温三二度のうだるような暑さ。母親は、何度もタオルで汗をぬぐいながらじっと活動を見つめていた。

 豪雨当日の六日夜、母親は車で娘を迎えに行き、自宅に帰宅する途中だった。道路が冠水して立ち往生し、自宅に一人でいた将太朗さんに電話をかけた。近所の祖父宅に避難するように伝えると「うわ、やばい」。風の音とともに、声が途切れた。山際の斜面を切り開いた造成地にある一家の自宅は跡形もなく壊れた。

 母親は最近、やんちゃだった将太朗さんに変化を感じていた。六月初旬にテニス部で一年生の指導係を任された。「面倒くさがり屋だったのに後輩の指導に一生懸命だった。頼りになるじゃんって思い始めていた」

 機械関連の仕事に就きたいと進路の話をし始めていた直後だった。シングルマザーの母親を気遣い、「おれがおらんくなったら母さん一人になるけえ」と県内での就職を希望してくれていた。

 将太朗さんに似た男性が川に流されたとの情報があり、母親らは七日から橋の周辺で捜索を始めた。将太朗さんの友人が会員制交流サイトで捜索への協力を呼び掛けたことをきっかけに、同級生や恩師らも加わり、十一日の捜索は数百人規模になった。

 小学校の頃からの親友で、高校一年の時に部活でダブルスのペアを組んだ小川綾太(りょうた)さん(17)は「盛り上げ役でおもしろいやつ。早く戻ってきてほしい」とぐっと腰を落とし、スコップで無心で土砂をかきだした。その周辺には、流された丸太や車があちこちに散乱していた。

 「こんなに多くの人が来てくれるとは…」。母親は懸命に捜索を続ける友人らの姿に感謝しつつ、自らに言い聞かせるようにこう声を詰まらせた。「あの子のことなので、埋もれた車の中に取り残されてぎりぎり生き残っている」

 

この記事を印刷する

東京新聞の購読はこちら 【1週間ためしよみ】 【電子版】 【電子版学割】

PR情報