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【社会】

清張12歳の詩?発見 本人作か否か「ミステリー」

同人誌「とりいれ」に掲載された「松本清張」の詩

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 作者を「松本清張」とする一編の詩が、大正時代に発行された同人誌に掲載されているのを、北九州市の古書店主が見つけた。社会派推理小説で知られる松本清張本人の作品だとすると、発表当時は十二歳。少年期の作品はこれまでに見つかっておらず「貴重な発見」との評価の一方で、本人の作品かどうかを疑問視する意見もあり、作品さながらの“ミステリー”として注目される。

 詩が見つかったのは同市八幡東区の古書店主、今井敏博さん(62)が昨年知人から購入した古書で、一九二二年に現在の北九州市小倉北区で発行された同人誌「とりいれ」。詩作「風と稲」の作者は「小倉 松本清張」と記されていた。「黄ろく実のつた/僕等をば/ピヨン、ピヨン、ピヨンと/飛びまわる」と稲を擬人化している。

 雑誌が発行されたころ清張は現在の小倉北区に住んでいた。今井さんは「松本清張という珍しい名前が小倉に二人いるわけがなく、第三者が無名の少年の名前をかたるはずもない。本人で間違いない」と自信を強める。

 一方で「清張作品の可能性は低くはないが、支える証拠がないので判断できない」と困惑するのは松本清張記念館(同市)の小野芳美学芸員。自伝「半生の記」には、十九歳で短編を書いて仲間に見せたとの記述があるが、十二歳のころの詩作や同人誌への投稿について言及はない。他の資料にも少年期の創作に触れたものはないという。

 詩の評価はどうか。雑誌が発行され、尋常高等小に通っていた当時は現在でいえば中学生。福岡教育大付属小倉中の梶原忠信教頭(国語)は「年齢の割にはかなりレベルが高い」と絶賛する。

 「何ということのない風景に身を置いて物語を仕立て、読者をその世界へと誘っている」と分析。「穏やかな日常から人間や世界を独自の視点で見つめ続けた清張作品の一端がうかがえる。もし本人の作品だったら素晴らしい発見だ」と話す。

 

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