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【社会】

1人の熱球、夢の出場 高校野球・青森大会 山道選手

全国高校野球選手権青森大会の1回戦に登板した県立大湊高川内校舎の山道昴昇選手=12日、青森県八戸市で

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 生徒数の減少で野球部員が集まらず、たった一人で活動していた青森県の分校の高校球児が、他部や本校から助っ人を募って全国高校野球選手権青森大会に出場した。試合は三十八対〇で敗れたが、出場を夢見て練習してきた県立大湊高川内校舎(むつ市)三年の山道昴昇(やまみちたかのぶ)選手(18)は「やりきった。後悔はない」と胸を張った。

 川内校舎は、大湊高の分校。入学者減で二〇二〇年度末での閉校が決定している。

 山道選手は小、中学校で野球部だったが、交通事情から通学できたのが野球部員が少ない川内校舎だけだった。しかし一年生の夏、中学時代のチームメートがプレーする姿を見て「もう一度野球がしたい」と心を動かされた。三年生の引退で部員はゼロになっていたが、反対する両親に何度も頭を下げ、秋に入部した。

 顧問の渡部伊織監督(24)と二人きりで体づくりや、キャッチボール、トスバッティングなどの練習を続けた。昨年秋や今年春の公式戦では、運営側の補助員として開催球場の客席を一つ一つ拭き、グラウンドを整備。その後は試合に出られない悔しさを胸に汗だくになるまでバットを振った。

1回戦で敗退し、相手校の校歌を聞く選手ら

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 選手を探したが、本年度の全校生徒は三十五人で頼みの新入生にも野球経験者はゼロ。それでも周囲に声を掛け続け、六月上旬になってほかの部活から四人が応じてくれた。大湊高本校からも、一年生の野球部員五人が加わった。

 試合は県立八戸北高との対戦。山道選手は四番・投手で出場。五回コールド負けとなったが、最後まで投げ抜いた。

 自身も高校球児だった渡部監督は「楽しんで試合をしていた。今まで指導してきてよかった」と笑顔だった。

 試合後、母みゆきさん(38)に「よく頑張った」と抱き寄せられると、こらえていた涙が流れた。この日は山道選手の誕生日。「一生の思い出。親や仲間、先生たちに感謝しかない」

 

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