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【社会】

司法取引初適用 海外贈賄、企業免責へ 東京地検

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 タイの発電所建設事業を巡り現地の公務員への贈賄疑惑が浮上し、事業を受注した日本企業と東京地検特捜部との間で、法人の刑事責任を免れる見返りに、不正に関与した社員への捜査に協力する司法取引(協議・合意制度)が成立したことが、関係者への取材で分かった。六月に制度が始まって以降、初適用となる。

 特捜部は今後、社員ら個人の刑事責任を追及する。法人としての企業の起訴は見送るとみられる。

 関係者によると、この企業は大手発電機メーカー「三菱日立パワーシステムズ」(MHPS、横浜市)。特捜部は不正競争防止法違反(外国公務員への贈賄)の疑いで捜査している。

 三菱重工業(東京)は二〇一三年、タイで発電所の建設事業を受注。MHPSは三菱重工と日立製作所(同)の火力発電事業部門が統合して一四年に設立された。MHPSの社員は資材の運搬を巡って賄賂を渡した疑いが持たれている。

 MHPSは内部告発で不正を把握。社内調査の結果、不正競争防止法に抵触すると判断し、特捜部と協議を始めた。その後、改正刑事訴訟法の規定に基づき、双方が司法取引の「合意内容書面」に署名した。

 不正競争防止法の規定では、外国公務員への贈賄について個人には五年以下の懲役か五百万円以下の罰金、またはその両方、法人にも三億円以下の罰金が科される。

 MHPSのホームページなどによると、従業員数は約一万人。米国や英国、上海、シンガポールにも拠点を構える。一八年三月期の売上高は七千九百五十五億円。MHPSは「現段階でお知らせすることはない」としている。

<協議・合意制度> 容疑者や被告が供述や証拠の提出により共犯者ら他人の犯罪の捜査・公判に協力する見返りに、自分の起訴を見送ってもらったり求刑を軽くしてもらったりする制度。司法取引の一つのパターン。今年6月に改正刑事訴訟法施行で導入された。対象は贈収賄や独禁法違反などの財政経済犯罪、薬物・銃器事件などに限定される。取引には容疑者らの弁護士が関与し、検察との合意書面に署名する。法人が処罰対象となるケースでは企業も取引できる。

 

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