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【社会】

<原発のない国へ 基本政策を問う> (4)むつ市と関電 交錯

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 青森県むつ市の市街地から車で北に二十分ほど。津軽海峡を臨む雑木林の一角に、真新しい倉庫のような建物がある。原発から出た使用済み核燃料を、プルトニウムなどを取り出す再処理工場(同県六ケ所村)に運ぶまでの間、一時保管する中間貯蔵施設だ。

 東京電力と日本原子力発電(原電)が出資する「リサイクル燃料貯蔵」(RFS)が建設した。東電柏崎刈羽原発(新潟県)から最初の搬入を予定するが、原子力規制委員会の審査が長引き、めどが立たない。

 施設を巡る六月三日の報道で、地元がざわついた。関西電力が美浜、大飯、高浜の三原発(いずれも福井県)の核燃料を搬入するため、RFSへの出資を計画していると、共同通信が配信。地元紙にも載った。

 騒ぎが大きくなったのは、福井県の西川一誠知事が昨冬、大飯原発3、4号機再稼働の条件として核燃料の県外搬出を求め、関電が今年中に候補地を示すと約束しているからだ。

 むつ市の宮下宗一郎市長は素早く対応した。東電、原電、RFSの三社を市役所への「出入り禁止」に。報道の二日後に上京し、日下部聡・資源エネルギー庁長官に「地域に断りのない中で進めるべきではない」と抗議。六月八日には三社を市役所に呼び、報道内容を否定する言質を取り付けた。十四日の市議会で「報道のような事実はないと認識せざるを得ない」と報告し、騒動は一段落した。

 ただ、地元で施設に反対してきた「核の『中間貯蔵施設』はいらない!下北の会」の野坂庸子代表(70)はいぶかる。「市長は頭越しに話が出たことに怒っただけ。核燃料を受け入れないとは言っていない。条件次第で認めてしまうのでは」

上から、青森県むつ市に建設中の中間貯蔵施設、むつ市の宮下宗一郎市長、福井県の関西電力大飯原発3、4号機=コラージュ

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 関電は、最多の三原発七基が新規制基準に適合。うち二原発四基を再稼働させたが、使用済み核燃料プールは五〜八年分と余裕がない。一時保管場所を確保できずにプールが満杯になれば、原発は動かせない。

 再処理工場の稼働が見通せず、電力各社はどこも同じ事情を抱える。プール内で核燃料の間隔を狭めて容量を増やしたり、専用容器で空冷したりすることを検討しているが、いずれも小手先で、限界がある。

 実は〇五年にRFSを設立する際、東電は他社にも参加を募った。ただ、応じたのは原電のみだった。

 関電に当時の経緯を聞いたが、広報担当者は「記録がなく確認できない」と回答。豊松秀己副社長は六月二十七日の株主総会で、RFSへの出資について「方針を固めた事実はない」と述べるにとどめた。施設の候補地を示す期限は残り半年を切っている。

 関電のつまずきに呼応するかのように、与野党の国会議員有志が六月十三日、使用済み核燃料の問題を考える議員連盟を設立。会合は非公開だったが、事務局長の武田良太衆院議員(自民)は「関電問題」がテーマの一つと認めた。出席した野党議員は「自民党には、再稼働のために中間貯蔵に道筋を付けたい思惑もあるだろう」と話した。(宮尾幹成)

<エネ計画では>電力会社 貯蔵拡大

 原発を動かせば必ず出る使用済み核燃料は現在、国内に一万八千トンある。国は全量再処理する方針だが、再処理工場は稼働のめどが立っていない。エネルギー基本計画では「貯蔵能力の強化が必要」とし、「安全を確保しつつ、管理する選択肢を広げることが喫緊の課題」と指摘した。国は二〇一五年十月、使用済み核燃料対策に関する行動計画を策定。電力各社はこの計画に基づき、中間貯蔵施設や、専用容器に入れて空冷する「乾式貯蔵」など、貯蔵能力を拡大しようとしている。こうした取り組みを加速させるため、基本計画で「国が積極的に関与」すると強調。自治体や電力会社とともに「安全で安定的な貯蔵が行えるよう、官民を挙げて取り組む」と表明している。

 

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