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【社会】

ヨウ素剤 学校備蓄進まず 再稼働原発5キロ圏 福井はゼロ

甲状腺への被ばくを防ぐために服用するヨウ素剤。手前がゼリー状で、奥が錠剤型

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 原子力規制委員会がガイドラインで求める原発から五キロ圏内の小中学校や幼稚園などの教育施設への安定ヨウ素剤の配備を巡り、規制委の審査などを経て再稼働した五原発が立地する福井、愛媛、佐賀、鹿児島の四県のうち、すべての施設に配備されているのは鹿児島県だけにとどまることが各県への取材で分かった。愛媛、佐賀両県は一部のみの配備で、福井県はすべてで配備していない。事故への備えが万全と言えない中で、再稼働が進んでいる実態が改めて浮かんだ。

 規制委は二〇一三年に作成したガイドラインで、事故時にすぐ避難が必要な原発五キロ圏の「予防防護措置区域(PAZ)」の住民には各戸への事前配布に加え、学校などに「備蓄しておく必要がある」と規定。ヨウ素剤は、若い世代で影響が出やすい甲状腺被ばくを防ぐため、十分な効果を得るには迅速な服用が必要とされる。

 東京電力福島第一原発事故後の新規制基準下で再稼働したのは、関西電力の大飯(おおい)原発と高浜原発(ともに福井県)、九州電力の川内(せんだい)原発(鹿児島県)と玄海原発(佐賀県)、四国電力伊方原発(愛媛県)の五原発九基。所在する四県で、ヨウ素剤の各戸への事前配布はいずれも六〜七割程度だが、学校備蓄では取り組みに差が出ている。

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 PAZ圏内では、福井県はおおい町、高浜町に小中学校など計九施設があるが、備蓄はゼロ。一方、鹿児島県は薩摩川内市の計五施設すべてに人数分を配備。佐賀県は玄海町と唐津市の五施設のうち一施設、愛媛県は伊方町内の八施設のうち四施設に備蓄している。

 規制委のガイドラインでは、一定の放射線量に達した場合に避難する五〜三十キロ圏の「緊急防護措置区域(UPZ)」も、学校が避難時の集合場所になる可能性があるため「備蓄が望ましい」としている。だが、福井県内の二原発のUPZ圏内にある約七十の教育施設にも備蓄はない。滋賀県内のUPZ圏内では、三施設全てで児童生徒分の備蓄を完了していた。玄海原発三十キロ圏に入る福岡県も、全施設に備蓄済みという。

 教育施設に配備していない理由について、福井県の担当者は「保護者の同意や子どもたちのアレルギーの把握、学校での管理方法などの課題がある」と釈明するが、県教委を交えた検討は進んでいないという。

 規制委事務局の原子力規制庁放射線防護企画課の担当者は「ヨウ素剤を事前配布している五キロ圏でも、災害の影響で家に取りに戻れない可能性もある。必ず手に入れることができるよう学校や幼稚園、保育園に置くべきだ」としている。

<安定ヨウ素剤> 放射性ヨウ素による甲状腺の内部被ばくを防ぐ作用がある。緊急時の服用は原則、原子力規制委員会が原発の状況や放射線量を基に総合的に判断する。被ばく前の24時間以内、または直後の服用なら9割以上の抑制効果があるが、16時間以降ではほとんど効果がない。3歳未満はゼリー剤、3歳以上は錠剤。錠剤は1000個(大人500人分)入りで1万2000円前後。

 

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