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【社会】

原発避難先3割 危険区域 69施設 土砂災害・浸水の恐れ

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 原発事故が起きた際に高齢者や障害者らが屋内退避する場所として原発から主に十キロ圏に整備されている十七道府県の二百五十七の放射線防護施設のうち、三割近くの六十九施設が土砂災害警戒区域や浸水想定区域など危険な場所にあることが二十一日、内閣府への取材で分かった。原発事故と水害などの複合災害になる恐れもあるため、内閣府は「別の施設に避難する計画を立てておくなどの対応が必要だ」としている。

 超党派の国会議員でつくる「原発ゼロの会」は西日本豪雨で施設が被災していないか調べるよう国に要望。内閣府が現在確認を進めている。

 土砂災害警戒区域は崖崩れや土石流などの対策を行う区域で、都道府県が指定。浸水想定区域は洪水や高潮で浸水が想定され、国や都道府県が指定する。

 内閣府によると、六十九施設は茨城、鹿児島など十三道府県。土砂災害警戒区域は五十四施設で、うち七施設はさらに危険な土砂災害特別警戒区域だった。浸水想定区域と津波浸水想定区域は各九施設。一部の施設は、複数の危険区域が重なるケースもある。屋内退避先として他に適切な場所がなかったため、危険区域内の学校や病院などを放射線防護施設に指定したという。

 多くの原発が立地する福井県には三十五の放射線防護施設があるが、半数近い十六施設が危険区域にあった。四国電力伊方原発がある愛媛県伊方町の十施設のうち九施設が区域内だった。

 十四施設のうち十施設が該当した京都府の担当者は「危険区域内の施設でも、屋内にとどまってもらう場合があるかもしれない。自然災害を想定して対応を考えるのは課題だ」と話した。

◆避難道路も検証を

<東京女子大の広瀬弘忠名誉教授(災害リスク学)の話> 放射線防護施設が危険な区域にあることは、避難する施設の脆弱(ぜいじゃく)性を示しており、原発再稼働を進める上で大きな問題だ。原発は海岸沿いでインフラ整備が十分ではない地域に立地しているケースが多く、防護施設のために他に適当な場所を見つけるのが難しいという現実もあるが、危険な場所に屋内退避すべきではない。土砂崩れで道がふさがれ、施設へのルートが確保できない可能性もあり、西日本豪雨で施設自体が被災しなくても、避難道路が健全だったかを検証する必要がある。

<放射線防護施設> 原発事故時に避難が難しい高齢者や障害者らが、被ばくのリスクを下げるため一時的に屋内退避する施設。原発から主に10キロ圏にある学校や病院、特別養護老人ホームなどに放射性物質の流入を防ぐフィルター付きの換気設備などを設置する。内閣府の補助金交付は、耐震性があり、津波などの浸水被害を受ける可能性が低いことなどが条件。2016年12月、原則として生命に危険が及ぶ恐れがない地域に立地することが条件に加わった。

 

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