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【社会】

三島由紀夫の書簡 未発表9通を発見 「潮騒」の島 知人に「懐かしい」

新たに見つかった作家三島由紀夫の書簡=21日、山梨県山中湖村の三島由紀夫文学館で

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 山梨県山中湖村の三島由紀夫文学館は二十一日、作家三島由紀夫(一九二五〜七〇年)が、代表作「潮騒」の執筆のために訪れた三重県・神島で親交を深めた元灯台職員の男性に送った直筆の未発表書簡九通が見つかったと発表した。「最も懐かしいのは、いふまでもなく君のこと」と、男性や神島に対する郷愁をつづっている。

 書簡は全集未収録。文学館の佐藤秀明館長が、当時の神島で、灯台小屋から望遠鏡で大型船の通過を確認して近くの港に知らせる仕事「船舶通過報」に就いていた愛知県豊橋市の鈴木通夫さん(87)の自宅で発見した。

 五三年三月〜六五年十一月の消印で、「いつそ、又、君の灯台でもモデルにした小説を計画するかな」「どうしても、あの見張小屋を、僕の詩想で育てたかつたのです。それから君を」などと記している。佐藤館長は「鈴木さんへの熱烈な思いをコントロールして書いているのがうかがえる。海を見続けるという孤独な仕事に、共感していたのではないか」と話す。

 書簡では、船舶通過報を担う孤独な少年を主人公にした戯曲「船の挨拶」を、鈴木さんをモデルに執筆したことも伝えている。文芸評論家の松本徹さんは「三島の最後の作品、『天人五衰』の主人公の仕事もこの船舶通過報だ。書簡は、『潮騒』から『天人五衰』まで、三島が、海や少年といった一貫したテーマを抱いていたことを示している」と分析している。九通は二十二日から十月十四日まで、同文学館で展示される。

 

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