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【社会】

ダム放流5分前 避難指示 大規模浸水の愛媛・大洲

基準量の約6倍に当たる水が放流された鹿野川ダム=9日、愛媛県大洲市で

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 西日本豪雨で氾濫した愛媛県の肱川(ひじかわ)上流にある野村ダム(西予市)と鹿野川ダム(大洲市)が、安全とされる基準の六倍の量を放流した問題で、大洲市が住民に避難指示を出したのは、鹿野川ダムが大量放流を開始する五分前だったことが二十二日、関係者への取材で分かった。ダム側と行政は放流の二時間半前からホットラインでやりとりしていたが、生かし切れなかった。

 大洲市と西予市では放流後に大規模な浸水被害が起きるなどして、計九人が犠牲になった。国土交通省が情報提供の経緯を検証している。

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 国交省四国地方整備局や大洲市によると、七日午前五時十分、鹿野川ダムを管理する同整備局の山鳥坂ダム工事事務所長から二宮隆久市長にホットラインで、ダムがあふれるのを防ぐため流入する水をほぼそのまま流す操作をする可能性があると連絡があった。六時二十分は「午前七時半ごろから操作する見込み。過去最大の放流量になる」、六時五十分は「最大放流量は毎秒六千トンの予測。危険だ」との内容だった。

 だが市が浸水の恐れがあると判断し、市全域に避難指示を出したのは午前七時半。放流は七時三十五分から実施され、最大放流量は安全とされる基準である毎秒約六百トンの六倍に当たる約三千七百トンだった。

 大洲市では肱川の水位を避難指示の基準としていた地域はあるが、ダムの放流量は基準になっていなかった。午前七時半前に国交省大洲河川国道事務所の予測で最大水位八・一五メートルと伝えられ、避難指示を判断した。大洲市では住宅約二千九百棟が浸水被害に遭い、水が流れ込むなどして三人が死亡、土砂災害で一人が亡くなった。西予市では五人が亡くなった。

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 国交省は「放流操作はマニュアル通り行い、適切だった」とする一方、情報提供を巡り課題があったとして有識者や行政を交えた検証の会合を設置している。

 大洲市危機管理課は「避難指示に問題があったかは国の検証に任せている」としている。市はダムの放流量に伴った避難指示の基準を設けることも視野に入れ、今後見直しを検討する。

 

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