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【社会】

犠牲19人 今年も匿名 やまゆり園事件2年

献花する一般参列者。画面には事件前の園の様子が映された=23日、相模原市南区で(代表撮影)

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 「和太鼓演奏を楽しく聴いていたあなた」「日なたぼっこが好きだったあなた」−。相模原市南区で二十三日に開かれたやまゆり園事件の追悼式は昨年同様、犠牲者十九人全員の氏名を伏せて営まれ、代わりに紹介した生前のエピソードも昨年と全く同じだった。神奈川県の黒岩祐治知事は式後の記者会見で、匿名の理由について「氏名公表は機が熟していない」と述べた。

 県によると、黒岩知事は式の前、「一人一人の名前を呼んで弔いたい」と提案。氏名を出したり、匿名でも遺影を掲げたりするのに前向きな遺族もいた。ただ、一部は「家族に障害者がいたと知られると生活が乱される」として受け入れなかったため、「対応をそろえたい」(県共生社会推進課)として全員を匿名にして、遺影も掲げなかった。代わって知事が紹介した十九人のエピソードは昨年と同じだったが、理由について同課は「説明できない」とした。

 入倉かおる園長は会見で「遺族の傷が癒えていない」と理解を求め、家族会の大月和真会長(68)は取材に「遺族に『公表すべきだ』と原則論で迫ることはできない」と話した。

 追悼式には、家族や園関係者ら以外にも多数が参列した。精神障害者の長女(44)がいる向井邦良さん(76)=同県藤沢市=は、エピソードが昨年と同じだったことが、式典の形骸化につながると懸念。「県は希望者だけでも名前を出していく努力をすべきだ。多くの人が共感してくれる形で追悼しないと忘れられてしまう」と訴えた。

 「神奈川県重症心身障害児(者)を守る会」の伊藤光子会長(76)は「十九人の個性ある人たちが殺された。その悲しみを共有するには実名でなければならない」と強調した。 (志村彰太、井上靖史)

 

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