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【社会】

辺野古埋め立て 翁長知事、承認撤回を表明 国は法的措置で対抗へ

記者会見する沖縄県の翁長雄志知事=27日午前、沖縄県庁で

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 沖縄県の翁長雄志(おながたけし)知事は二十七日、県庁で記者会見し、米軍普天間(ふてんま)飛行場(宜野湾(ぎのわん)市)の名護市辺野古(へのこ)への移設を巡り、前知事による辺野古沿岸部の埋め立て承認の撤回に向け、手続きを始めると表明した。環境保全対策を示さずに工事に着手するなど、承認の条件となる事業者の義務に違反しているとして、国を批判。「あらゆる方法を駆使し、新基地は造らせないとの公約実現に向け、全力で取り組む」と改めて強調した。

 翁長氏にとっては十一月の知事選を前に撤回方針を打ち出すことで、県民世論を喚起する狙いもあるとみられる。撤回により国の工事は一時中断し、早ければ八月十七日にも予定される辺野古沖での土砂投入が遅れる可能性がある。防衛省沖縄防衛局は撤回の無効化を求め、直ちに取り消し訴訟の提起など法的措置で対抗する構え。辺野古移設を巡る国と県の対立は大きな局面を迎える。

 菅義偉(すがよしひで)官房長官は会見で「県の通知書が来れば、法令に従って適切に対応する。移設工事を進めるという考え方に変わりない」と述べた。具体的な対抗策については言及を避けたが「(移設を巡る)二〇一六年十二月の最高裁判決の趣旨に従い、国と県が互いに協力して埋め立て工事を進めることが求められる」と説明した。協議が不十分だとの指摘には「今日まで丁寧に対応している」と反論した。

 県は、撤回に際し沖縄防衛局から弁明を聞くための聴聞開始を、二十七日中に防衛局に通知する予定だったが、手続きに時間がかかるため、来週にずれ込む見込み。防衛局は聴聞に応じる構えだ。実際の撤回は通知から二〜三週間程度かかる見通し。防衛局は、土砂投入を予定する海域を護岸で囲い込む作業を完了し、本格的な埋め立ての準備を整えている。

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<辺野古移設問題> 1995年に沖縄県で起きた米兵による少女暴行事件をきっかけに、日米両政府は96年、宜野湾市中心部の米軍普天間飛行場返還で合意。日本政府は99年に名護市辺野古への移設を決定した。仲井真弘多(なかいま・ひろかず)前知事は2013年、予定地の埋め立てを承認したが、計画阻止を掲げ当選した翁長雄志知事が15年10月に取り消し、国と県の法廷闘争に発展。16年12月に県の敗訴が確定し、翁長氏は自らの取り消し処分を撤回した。政府は昨年4月、埋め立て工程の護岸造成工事に着手。県は工事差し止めを求め提訴したが、一審那覇地裁は今年3月、訴えを却下した。

<行政処分の撤回> 閣僚や都道府県知事らが与えた許認可や免許などの行政処分を取り消すこと。処分後に違法行為が発生するなどして、公益上の必要性が高いと判断した場合に適用する。行政処分そのものの違法性を理由とする「取り消し」とは区別される。判例上、撤回は明文規定がなくても可能とされる。今回の移設工事を進める上で国が取得した公有水面埋立法に基づく「埋め立て承認」も対象となる。処分の前には相手側の意見を聞くため聴聞の機会が設けられる。

 

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