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【社会】

八王子スーパー3人射殺 あす23年 母校で同級生ら「事件忘れないで」

矢吹恵さんの思い出を話す同級生の鷹野めぐみさん=東京都町田市の桜美林中学・高校で

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 東京都八王子市のスーパー「ナンペイ大和田店」で一九九五年七月、アルバイトで高校二年の矢吹恵さん=当時(17)=ら三人が射殺された強盗殺人事件は未解決のまま、三十日で発生から二十三年となる。矢吹さんの同級生で親友だった鷹野めぐみさん(40)=大田区=は毎年、母校の私立桜美林高校(町田市)で追悼礼拝を続け、事件解決を祈っている。 (木原育子)

 いつくしみ深き 友なるイエスは、罪とが憂いをとり去りたもう−。二十八日に開かれた今年の礼拝。会場に賛美歌が流れると、鷹野さんが目を閉じた。

 まぶたに浮かぶのは、事件の数日前、花火大会の帰り道、浴衣姿で「またね!」と手を振る親友の最後の笑顔だ。ヒマワリのようにパッと咲く明るい笑顔。礼拝では毎年、ヒマワリを会場に飾る。

 二人は同じ中学高校に通った。通学も一緒。地元の八王子駅から毎朝、同じ電車の一番後ろの車両と決まっていた。保育士になるという矢吹さんの夢、進路や、スポーツ選手の話で盛り上がり「どこにでもいる普通の女子高生だった」。

 事件当日、パトカーのサイレンが次々に聞こえた。翌朝、テレビで事件を知り、がくぜんとした。「これ、夢だよね…」

 十七歳の夏は、鷹野さんに一生忘れられない影を落とした。葬儀場で触れた矢吹さんは、いつもの穏やかな表情なのに、体は冷たくなっていた。銃で撃たれた痕は、怖くて見ることができなかった。悲しくて悔しくて、息が苦しくなり、涙があふれた。

 「礼拝を続けることで、多くの人に事件を忘れないでいてもらえれば…。犯人には自首してほしい」と鷹野さん。「拳銃を突きつけられ、どれだけ怖かったか。大切な友の命を奪った銃が、この世からなくなってほしい」と、事件後に同級生らと「銃器根絶を考える会」をつくり、講演や催しで銃撲滅を訴え続けている。

◆警視庁「小さな情報でも連絡を」

 事件はオウム真理教による地下鉄サリン事件の約四カ月後に起きた。一九九五年七月三十日午後九時十五分ごろ、東京都八王子市のスーパー「ナンペイ大和田店」の閉店直後、二階事務所で、いずれもアルバイトの高校二年矢吹恵さん=当時(17)=と前田寛美さん=同(16)、パートの稲垣則子さん=同(47)=が拳銃で頭を撃たれ殺害された。

 事務所の金庫の扉に弾痕が残っており、こじ開けようとした形跡があったが、中の現金約五百万円は残されていた。二〇一〇年、殺人や強盗殺人などの公訴時効(改正前は二十五年)が撤廃された。現在、店は取り壊され、駐車場になっている。売上金を管理していた店の専務や通報者らは他界した。

 警視庁幹部の中には、当時大半の捜査員がオウム真理教事件に投入されており、ナンペイ事件の初動捜査が不十分だったのではないかと指摘する声もある。

 警視庁は今月、犯人が事件当時、履いていたとみられるスニーカーの再現品を公開した。捜査一課の須山浩道管理官は「小さな情報でも、連絡してほしい」と呼び掛けている。情報は特別捜査本部=電042(621)0130=へ。

 

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