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【社会】

被爆者アンケート 核禁止条約「参加を」80%

 広島、長崎への原爆投下から七十三年となるのを前に、共同通信が全国の被爆者に核兵器禁止条約について尋ねたアンケートで、「日本政府は条約に参加すべきだ」との回答が八割に上ったことが二十八日、分かった。国連での採択に反対の立場を取った日本に、被爆者の大半が強い不満を抱き、署名・批准を求めている実情が明らかになった。

 安倍晋三首相が掲げる自衛隊の存在を明記する憲法九条を改める案には五割以上が「反対」と回答。「戦争放棄」「戦力不保持」を定めた平和憲法が侵される恐れや軍備拡張への懸念が示された。

 アンケートは六月中に日本原水爆被害者団体協議会(被団協)に加盟する各地の被爆者団体などの協力を得て、全国の被爆者約六千人に配布。七月中旬までに千四百五十人から有効な回答を得た。

 昨年七月に国連で採択された核兵器を全面的に禁じる核禁止条約を80・2%が「評価する」とし、「被爆者の訴えが世界の人々の心を動かし、長年の努力が認められた」(七十九歳女性)と歓迎。

 被爆者の80・8%が日本の条約参加を求めた。米国の「核の傘」に依存し、条約に反対する日本政府に「被爆者の長年の活動を無視した行為」(七十六歳男性)、「唯一の被爆国として世界に率先して参加すべきだ」との意見が目立った。

 一方、条約を「評価しない」は4・8%、「どちらとも言えない」は9・5%で「核保有国が加入せず、実効性に疑問がある」との見方も複数あった。

 九条改憲案には52・3%が反対。理由は「二度と戦争をしないため」が最も多かった。賛成は27・0%で、理由に「災害救助や国際平和協力活動に取り組んでほしい」か「北朝鮮の脅威など日本を取り巻く情勢に対応する必要がある」を挙げた人がほぼ同数だった。

 「現在、語り部活動などで体験を話していますか」との質問には、65・4%が「いいえ」と回答。高齢による活動の難しさや「悲惨な状況を思い出したくない」との記述が多く見られ、体験を語っている30・3%のうち大半が「継承に不安を感じている」とした。

 今年四月に約十年ぶりの南北首脳会談が実現し、朝鮮半島の非核化について尋ねたところ、「期待するが、本当に実現するか懐疑的だ」が51・8%、「期待する」が35・4%、「期待できない」は6・8%だった。

<被爆者> 米国が1945年8月6日に広島市、9日に長崎市に投下した原爆の惨禍に遭った人たち。45年12月末までに広島で約14万人、長崎で約7万4000人が死亡したとされる。

 直接被爆した人や胎児だった人のほか、2週間以内に市内に立ち入ったり、救護に携わったりして放射線を浴びた人に、国は被爆者健康手帳を交付しており、所持者は2017年度末で15万4859人。高齢化が進み、ここ数年は毎年約1万人単位で減っているが、現在も多くが放射線による健康被害に苦しんでいる。

<核兵器禁止条約> 核兵器の開発や保有、使用などを全面的に禁止する史上初めての条約。前文で核兵器使用による被爆者の受け入れ難い苦しみに留意すると明記した。昨年7月7日に国連で122カ国・地域の賛成により採択された。五大核保有国(米国、英国、フランス、ロシア、中国)と、米国の「核の傘」に入る日本や韓国などは反対の立場。日本が参加するには、署名と批准の国内手続きが必要だ。採択の原動力となった非政府組織(NGO)「核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)」はノーベル平和賞を受賞した。

 

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