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【社会】

栃木小1女児殺害事件 来月3日判決 自白の信用性、高裁判断は

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 二〇〇五年の栃木小一女児殺害事件で殺人罪に問われ、一審で無期懲役判決を受けた勝又拓哉(たくや)被告(36)の控訴審で、東京高裁(藤井敏明裁判長)は八月三日に判決を言い渡す。被告は捜査段階で殺害を自白した後、供述を変遷させ、公判では一貫して無罪を主張。凶器などの有力な物証はなく、一審に続き、自白が信用できるかどうかが最大の争点だ。

 自白では事件後に捨てたとされている血の付いたナイフや軍手は見つかっていない。

 客観的な証拠は(1)遺体から採取された動物の毛が、被告の飼っていた猫の毛である可能性が高い(2)被告が事件当日、遺棄現場に行った可能性を示す自動車ナンバー自動読み取り装置(Nシステム)の記録がある−など間接的なものしかない。

 一六年四月の一審宇都宮地裁の裁判員裁判判決は、これらの間接証拠を有罪の方向に評価した上で、それだけでは犯人と認定できないと判示。取り調べの録音・録画(可視化)の内容などから「自白には具体性や迫真性があり、根幹部分は信用できる」と判断、有罪とした。

 弁護側は一、二審ともに、検察官による誘導に迎合して虚偽の自白をしたと訴え、遺体の傷や遺棄現場の状況は殺害の方法や場所に関する自白と矛盾すると指摘。検察側は、取り調べは適正に行われ、弁護側が矛盾の根拠とした専門家の見解は非科学的だと反論した。

 弁護側は控訴審になって、遺体に付着した微物のDNA型鑑定に関する専門家の見解を基に「真犯人の可能性がある第三者の型が検出された」と新たに主張。検察側は「捜査関係者などのDNAが付着した可能性がある」とした。

 高裁の藤井裁判長は、一審は起訴内容の日時と場所で殺害したかどうかの審理が不十分で、控訴審の成り行きによっては、被告が犯人かを判断するまでもなく無罪となる可能性もあるとして、検察側に訴因変更の意向を打診した。

 これを受け、検察側は殺害の日時と場所の範囲を大幅に広げる訴因変更を請求し、認められた。

 間接証拠の積み重ねを積極評価し、可視化の映像などを根拠に自白の信用性を認めた裁判員裁判の判断は妥当だったのか。高裁判決が注目される。

<栃木小1女児殺害事件> 2005年12月1日、栃木県今市市(現日光市)で、市立大沢小学校1年吉田有希ちゃん=当時(7つ)=が下校中に行方不明となり、翌2日に約60キロ離れた茨城県常陸大宮市の山林で遺体が見つかった。栃木、茨城両県警は14年6月、殺人容疑で勝又拓哉被告を逮捕した。捜査段階で殺害を認めたが、その後「うその自白をさせられた」と否認に転じ、公判では無罪を主張した。一審宇都宮地裁の裁判員裁判は、取り調べの録音・録画の内容などから自白調書の信用性を認め、無期懲役の判決を言い渡した。

 

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