東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 社会 > 紙面から > 7月の記事一覧 > 記事

ここから本文

【社会】

パーキンソン治験1日開始 iPS細胞活用、京大計画

写真

 人の人工多能性幹細胞(iPS細胞)から神経のもとになる細胞を作り、パーキンソン病患者の脳内に移植する治験を実施する高橋淳・京都大教授のチームは三十日、治験を八月一日から始めると発表した。パーキンソン病でのiPS細胞を利用した治験は世界初となる。患者数人を募集し医師主導治験を開始し、新たな治療法として保険適用を目指す。患者団体からは治療の選択肢が広がると期待の声が上がるが、iPS細胞にはがん化の懸念もあり、慎重な実施が求められそうだ。詳細は三十日午後三時から京大で記者会見し説明する。

 パーキンソン病は、脳内で神経伝達物質ドーパミンを出す神経細胞が減少し、体のこわばりや手足の震えなどが起こる難病で、国内の患者は推定約十六万人。根本的な治療法はなく、チームは京大が備蓄する、拒絶反応が起こりにくい型の他人のiPS細胞から作った神経細胞を脳内に移植し神経を補う。

 関係者によると、治験計画は既に学内審査を終え、治験を監督する医薬品医療機器総合機構(PMDA)に六月に届け出て、その後国に了承された。医師主導治験は現場の医師が主体となり安全性や有効性を検証する。

 チームはこれまで、患者や健康な人のiPS細胞から作った神経細胞をパーキンソン病のサルに移植し、最長二年間観察。症状が改善し、がん化する可能性のある腫瘍ができなかったという。

 これまで理化学研究所などが、iPS細胞から作った網膜の細胞を目に重い病気のある患者に移植する世界初の臨床研究を実施。大阪大はiPS細胞から作った心筋シートを重症心不全患者の心臓に移植する臨床研究を計画している。

<人工多能性幹細胞(iPS細胞)> 皮膚などの細胞に人工的に遺伝子を入れるなどして、さまざまな細胞に変化できる能力を持たせた細胞。山中伸弥・京都大教授が2006年にマウスで、07年に人で作製を報告し、12年にノーベル医学生理学賞を受賞した。病気やけがで失った組織や臓器を修復する再生医療に役立つとされている。また、治療が難しい病気の患者の細胞からiPS細胞を作って体外で病態を再現し、創薬に生かす取り組みも進んでいる。

 

この記事を印刷する

東京新聞の購読はこちら 【1週間ためしよみ】 【電子版】 【電子版学割】

PR情報