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【社会】

諫早開門判決は「無効」 漁業権消滅 漁業者側、逆転敗訴

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 国営諫早湾干拓事業(長崎県)を巡り二〇一〇年の確定判決に基づく開門命令の効力が争われた訴訟の控訴審判決で、福岡高裁は三十日、国側の請求を認め、命令を無効とする判断をした。巨大公共事業を象徴する堤防排水門について異なる司法判断が並立するねじれ状態が解消され、長年の法廷闘争は「閉門維持」で終結に向かう可能性が高まった。

 確定判決に反して開門を拒み続けた国の姿勢を事実上追認する判決。国は基金による解決を目指すが、漁業者側は最高裁へ上告して争う。西井和徒裁判長は「漁業者の共同漁業権は一三年に消滅し、開門を求める権利も失われた」として国側敗訴の一審佐賀地裁判決を取り消した。

 諫早湾干拓事業は一九九七年に堤防排水門が閉め切られ、有明海の環境悪化を理由に開門を求める漁業者と営農者の利害が対立。一三年に長崎地裁が開門禁止(差し止め)の仮処分を出したため司法のねじれが鮮明になった。開門命令に従わない国は百億円の漁業振興基金を柱とする解決案を提示。西井裁判長が今年三月、この案に沿う形で和解を勧告したが協議は決裂した。

 国は一四年六月から、開門命令違反の制裁金(一日四十五万円〜九十万円、累計約十二億円)を漁業者に支払ってきた。今回の判決で制裁金は免除され、国が支払い済み分を裁判手続きなどで返還を求める可能性もある。

<国営諫早湾干拓事業> 有明海の諫早湾で農地確保と低地の高潮対策を目的とした農林水産省の事業。全長約7キロの潮受け堤防で湾を閉め切り、約670ヘクタールの農地と、農業用水を供給する調整池約2600ヘクタールを整備した。総事業費は約2530億円。1986年に着手し97年に堤防を閉め切った。有明海では深刻な漁業被害が生じ、漁業者側は閉め切りが原因として開門を要求。国などは対策として漁場改善事業を2002年度から始め、昨年3月末までに約520億円を拠出した。

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