東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 社会 > 紙面から > 8月の記事一覧 > 記事

ここから本文

【社会】

<つなぐ 戦後73年>元兵士ら証言と現代若者の手紙 学生ら英訳、来春電子書籍化へ

パネルディスカッションで語る北川直実さん(左)や、早稲田大2年の上田直輝さん(左から2人目)ら=6月、千葉市で

写真

 太平洋戦争の元兵士らの証言と、現代の若者が戦争体験者に宛てた手紙をまとめた書籍の英訳が進んでいる。来年三月の電子書籍化を目指しており、著者の一人で編集者北川直実さん(58)=千葉県習志野市=は「国境や世代を超え、戦争の悲惨さや平和の尊さのメッセージを届けたい」と話している。 (中山岳)

 書籍は「若者から若者への手紙 1945←2015」(二〇一五年出版)。元兵士や東京大空襲の被害者ら十五人の証言と、証言を知った現代の十〜二十代の十五人がつづった手紙が盛り込まれている。写真家落合由利子さん(54)、北川さん、ライター室田元美さん(58)の共著で、十年がかりの取材の成果だ。

 戦争体験者のうち、長生郡東郷村(現千葉県茂原市)出身で一四年、九十歳で亡くなった篠塚良雄さんは、日中戦争下、旧満州(現中国東北部)のハルビンで、細菌兵器の研究開発を進めた「七三一部隊」の少年隊員だった。

 篠塚さんは、捕虜らの人体実験に関わったことを悔やみ、「戦争は基本的に人命軽視。わしたちは、(上官に)命ぜられればその通りに動くロボットにさせられた」と証言している。

 「海外で読まれるよう翻訳したら」。読者から意見が寄せられ、北川さんらは昨年、英訳を決定。戦争体験者の証言の英訳はプロの翻訳家が担当し、若者の手紙は日本人、日系ペルー人、韓国人など多様な境遇の十〜二十代の学生や社会人が手掛けることになった。

 英訳に参加した早稲田大二年の上田直輝さん(19)は、篠塚さんの証言を読み「当時の若者は『国のためなら戦争は間違いではない』と教育を受けていた。戦争を知る努力を続け、自分の意見を持つことが必要だと思った」。津田塾大大学院二年の市村かほさん(24)も「戦争の教訓を学び、今の世代が生かす大切さを痛感している」と話す。

戦争体験者の証言などが収められた「若者から若者への手紙 1945←2015」

写真

 北川さんや上田さんらは、六月に千葉市で開かれた「平和のための戦争展」のパネルディスカッションで、英訳への思いや戦争体験者の記憶を次世代につなぐ大切さを語り合った。英訳に参加した若者らが、戦争体験者へ新たに手紙を書く計画もあるという。

 室田さんは「英訳を通じ、若者が戦争体験者の生き方に向き合ってほしい。今後も戦争について考え、世代や国境の垣根を越えて話し合ってもらえればいい」と話している。

 北川さんらは電子書籍化の資金の寄付も募っている。問い合わせは、出版社「ころから」=電03(5939)7950、Eメール=office@korocolor.com=へ。

 

この記事を印刷する

東京新聞の購読はこちら 【1週間ためしよみ】 【電子版】 【電子版学割】

PR情報