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【社会】

武蔵小杉化する?武蔵小山 「ムサコ」にタワマン続々、再開発の波

再開発が進む東急目黒線の武蔵小山駅周辺=4日午前、東京都品川区で、本社ヘリ「あさづる」から(木口慎子撮影)

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 東京都内最長の八百メートルのアーケード商店街があり、「ムサコ」の愛称で知られる武蔵小山(東京都品川区)が、再開発ラッシュを迎えている。私鉄沿線で激変する庶民の街といえば、連想されるのは同じく「ムサコ」と呼ばれる武蔵小杉(川崎市)。先行事例として学ぶべきだという声が上がっている。 (原尚子)

 JR山手線目黒駅から東急目黒線で二駅目。武蔵小山駅前は巨大建設現場となっている。地上四十一階建てのマンション二棟が着工し、別に二つのタワーマンションを想定した再開発準備組合が設立された。

 一帯は「りゅえる(フランス語で小路の意味)」と名づけられた飲食店街だった。「何百って店が消えちゃった。スナックがたくさんあった」。不動産業を営む男性が振り返る。

 戦後の闇市時代から発展を遂げ、道が狭くて木造住宅が密集。再開発は地域の願いだった。商店街振興組合の半田忠久理事長(56)は「火が出たら全部燃えると言われていた。安全な街づくりが必要だった」。

 ただ、急激な変化を心配する声もある。八駅先の「川崎のムサコ」、武蔵小杉駅周辺の住民だ。

 武蔵小杉は約十年前、工場地帯跡地から再開発が本格化し、四十階超のマンションが十棟以上立った。家族連れや若者が訪れるショッピングセンターができ、緑地が増える一方で、ビル風や日照問題、駅の混雑や保育園不足が深刻化。「小杉・丸子まちづくりの会」の橋本稔さん(74)は「近所の保育園に入れず、都心まで満員電車の中を子ども連れで通う親もいる」。

超高層住宅が立ち並ぶ川崎市中原区の武蔵小杉駅周辺。人口の急増がさまざまな問題を引き起こしている=本社ヘリ「あさづる」から(隈崎稔樹撮影)

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 別々の業者がビルをばらばらに建設していることが問題を招いている。「個々の開発は法的に問題なくても、ビル風や日照問題は複合的に起こる。武蔵小山もそうならないか…」

 武蔵小山ではタワマン四棟で六千人の人口増が見込まれる。東急電鉄の担当者は「武蔵小山駅は、現行の六両から八両化に対応できるよう設計してある」と説明。保育園は品川区が四月に三園を新設したほか、再開発地域に一園をつくることになっている。

 ビル風については、風が起きにくいとされる建物の形状にすることを検討。また、周辺の家賃は高騰しそうで、「再開発後に個人店が戻ってこられず、大手チェーン店ばかりになるかもしれない」(地元不動産業者)との懸念もある。

 駅前通り再開発組合理事長の紳士服店主三沢達司さん(78)は、組合としてもさまざまな対応策を取っているとした上で、「新しい街になってにぎわえばいい。今から完成を楽しみにしている」と話した。

<武蔵小山駅前の再開発> 地上41階建てのマンション2棟が着工し、戸数は計約1100戸。さらに二つの再開発準備組合が設立され、全て完成すると4棟と商業施設が、アーケード商店街「パルム」を挟んで立つ。東急電鉄によると、武蔵小山駅の利用はこの10年間で8000人増え、2016年度の乗降客は1日平均5万2000人。

<武蔵小杉駅再開発の影響> JR東日本によると、16年の1日平均乗員数は12万8000人で、10年前に比べて約5万2000人増えた。横須賀線の武蔵小杉−西大井間の朝の混雑率は16年で191%。駅に入るための行列が深刻化し、今年4月に入場専用の臨時改札を設置した。

 地元の中原区では認可保育所などの利用申請者が4月1日時点で6583人に上り、希望する園に入れなかった子は837人。区は受け入れ枠を前年度から620人分増やしたが足りないため、来年度までにさらに500人増やす予定。

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