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【社会】

強制不妊被害の男性「人を人とも思わない法律」 東京地裁で初弁論

閉廷後、近くであった集会に臨んだ原告の男性(右)=6日、東京都千代田区で

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 旧優生保護法(一九四八〜九六年)下で不妊手術を強いられたとして、東京都内の男性(75)が国に損害賠償を求めた訴訟の第一回口頭弁論が六日、東京地裁(手嶋あさみ裁判長)であった。「なぜこのような手術を行う必要があったのか。私の人生を返してほしい」。法廷で意見陳述した男性に対し、国は請求棄却を求め、争う姿勢を示した。 (井上靖史)

 「今も体には生々しい手術の痕がくっきり残っている」。男性は証言台で、時折、手元のメモを見ながらも力強い口調で話した。男性に障害はなかったが、宮城県の児童施設にいた中学二年の時、連れて行かれた病院で説明がないまま手術を受けたという。「個人の意思に反して生殖機能を奪う、人を人とも思わない法律がいかに人を傷つけてきたか、理解してほしい」と訴えた。

 男性に先立ち陳述した代理人の高辻庸子弁護士は、親族が置かれた状況に触れ、「秘密を抱えてきた家族も長年、苦しんできた」と語った。男性の三歳上の姉は当時高校生で、祖母から手術について口止めされていた。姉には三人の子どもや孫がおり、男性や男性の妻と会うたびに「やりきれない気持ちになっていた」という。提訴に当たり、六十年以上封印してきた思いをそう打ち明けたと法廷で紹介した。

 法廷や、閉廷後に近くで開かれた集会には、車いすに乗った人や障害のある人たちも多数駆け付けた。十六歳で不妊手術を施され、五月に仙台地裁に提訴した宮城県の七十代女性は「被害者の多くは高齢者。国は早急に謝罪し、事実も明らかにしてほしい」と言葉を詰まらせた。

 旧優生保護法下の強制不妊手術を巡っては、全国四つの地裁で被害者らが国を訴えている。

 

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