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【社会】

トップが不正「自殺行為」 東京医大調査委報告書で批判

調査報告書を手に会見する東京医科大内部調査委員会委員長の中井憲治弁護士。左は同調査総括担当の植松祐二弁護士=7日、東京都新宿区西新宿で

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 七日に公表された東京医科大不正入試問題の調査報告書は、大学トップの前理事長臼井正彦被告(77)=贈賄罪で在宅起訴=らが加算する点数を精査し、細心の注意を払って得点操作した実態の一端を明らかにした。二〇〇六年以降、女子や三浪以上の男子の合格者を抑制したとみられ、報告書は「大学の自殺行為に近い」と非難した。

 一七年二月に実施された医学部医学科の一般入試の一次試験後、臼井被告と前学長鈴木衛被告(69)=同=は特定の氏名、受験番号などを記したリストを持ち寄った。いずれも入試で便宜を図るよう依頼された受験生で、文部科学省の前局長佐野太被告(59)=受託収賄罪で起訴=の息子も含まれていた。

 一次試験は四百点満点。臼井被告らは十三人に加点し、ある受験生には四十五点も加算していた。佐野被告の息子は一次突破ラインを大幅に下回り、臼井被告らは相談して調整を断念。この年の結果は不合格だった。

 約一年後の今年二月、学内のパソコンルーム。三日の一次試験直後、かつて医学科学務課長補佐を務めたスタッフは、同課長から佐野被告の息子らに加点する内容のメモを渡された。パスワードが必要な入試用システムで得点を加算するよう入力。このスタッフは学務課を離れた後も、臼井被告の意向で入力作業を続けていた。

 佐野被告の息子が加算されたのは十点。臼井被告らは二次試験が普通の出来であれば少なくとも補欠で繰り上げ合格できると考え、加算する点数を決めた。

 二次試験翌日の今年二月十一日、臼井被告と鈴木被告、学務課長が得点操作を協議。受験者全体の得点状況を踏まえ、繰り上げ合格できる可能性は変わらないと判断し、さらなる加点は見送った。

 報告書は、臼井被告が入試委員会委員だった一九九六年ごろから合否判定に関わり、受験生の信頼を害することへの規範意識が相当鈍くなっていたと指摘。鈴木被告についても「理事会を支配していた臼井氏と対立し、学長を辞めさせられることを恐れ、職務を放棄した」と批判した。

 不正行為を詳細にまとめた報告書はこう強調する。「募集要項では、受験生が『試験の公平性を損なう行為』をした場合、試験成績が全て無効になるとしているが、裏では理事長や学長が自ら『試験の公平性を損なう行為』に手を染めていた」

 

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