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【社会】

沢の奥から「ぼく、ここ」 山口・2歳児発見 母「胸いっぱいに」

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 山口県周防大島町で十五日、行方不明から三日ぶりに見つかった藤本理稀(よしき)ちゃん(2つ)は、山道を進んだ先の山中の沢に座っていた。現場は帰省先の曽祖父宅から約五百六十メートルで、県警は十四日に周辺を捜索したが見つからなかった。山を歩いた末にたどり着いた可能性があるとみて調べる。

 理稀ちゃんの母親の美緒さん(37)は搬送先の山口県柳井市の病院で取材に応じ「駄目かなと思っていたけど、(理稀ちゃんが)目を開いてこっちを見たときは胸がいっぱいになった」と喜びの心境を語った。

 発見したボランティアの尾畠春夫さん(78)=大分県日出町=について「必ず生きて帰すと言ってくれていた。本当に発見してくださってすごいです」と感謝の言葉を述べた。

 病院によると、目立ったけがはないが脱水症状があり、今週は入院が必要という。

 尾畠さんによると、沢の手前で理稀ちゃんの名前を呼ぶと、奥の方から「ぼく、ここ」と声が聞こえた。泥で汚れたTシャツだけを着た状態で、下流の方を向き、石の上で足を水につけて座っていた。

 県警や消防は理稀ちゃんが行方不明になった十二日、曽祖父宅付近を約九十人で捜索。十四日は約百五十人態勢で沢がある山中にまで範囲を広げた。

 柳井署の安永孝裕署長は十五日、尾畠さんに発見したことをたたえる感謝状を手渡した。

◆78歳、発見のボランティア男性 「必ず生きて帰す」決意の捜索

藤本理稀ちゃんの発見現場で、当時の状況を説明する尾畠春夫さん=15日午後、山口県周防大島町で

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 藤本理稀ちゃんを発見したのは、捜索ボランティアとして町を訪れた尾畠春夫さん(78)だった。「人の命より重いものはない。尊い命が助かってよかった」と豪快に笑った。

 尾畠さんは十五日午前六時ごろから単身、裏山に入った。町に到着した十四日に理稀ちゃんの母親ら家族と会い「見つけたら必ず抱きしめ、じかにお渡しする」と決意を伝えていた。山口県警などの捜索隊に先んじる形になったのは、「一分でも一秒でも早く見つけてあげたい」との思いに突き動かされたからだった。

 三十分ほどで沢沿いに座っていた理稀ちゃんを発見。用意してきたバスタオルにくるんで抱きかかえ、約束通り無事な姿で家族に引き渡した。母親のうれしそうな表情が脳裏に焼き付いたという。

 二〇一六年十二月、大分県佐伯市で二歳女児が行方不明になった際も捜索に加わった。女児は無事に保護された。西日本豪雨や東日本大震災など、災害が起きるたびに各地へ足を運び、遺品探しや泥かきに汗を流した。

 「理稀ちゃんの声を聞いたときは頭が真っ白になった」と感無量の表情を浮かべた。六十五歳まで地元で鮮魚店を営んできたという尾畠さん。引退後はボランティアにいそしむ日々を過ごしてきた。「体が元気なうちは、まだまだ世の中のために働きたい」

 

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