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【社会】

比で収集の「戦没者」遺骨 DNA鑑定「日本人なし」

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 厚生労働省に委託された二人の専門家が、太平洋戦争の激戦地・フィリピンで旧日本兵のものとして収集された遺骨の一部をDNA鑑定し「日本人である可能性が高い人骨はなかった」などとする報告書をまとめていたことが十六日、関係者への取材で分かった。

 厚労省は二〇一二年十月に報告書の提出を受けたが、結果を公表していなかった。同省の担当者は報告書の存在を認めた上で「一一年に実施した検証結果の域を出るものではないと判断し、公表しなかった。隠していたわけではない」と述べた。

 フィリピンでの遺骨収集事業は八年前に現地住民のものが混入している可能性が指摘され、中断している。厚労省は今年五月、両政府関係者の立ち会いの下で収集することを定める協力覚書をフィリピン政府と締結。年内にも事業を再開したい考えだが、報告書の存在が明らかになり、遺骨収集には、さらに慎重さが求められる。

 フィリピンでは、旧日本兵の遺骨約三十七万人分が帰還を果たしていないとされる。厚労省は〇六年から民間団体の協力により、フィリピンでの「海外未送還遺骨の情報収集事業」を始め、〇九年度にはNPO法人「空援隊」に事業を委託。一〇年度には六千二百八十九人分を日本に持ち帰った。

 一〇年十月に「現地人の遺骨が混じっている」との報道を受け、事業を中断。空援隊が収集した遺骨のうち百三十人分からDNAを鑑定する検証作業を進め「日本人らしいものが五個体、フィリピン人らしいものが五十四個体」との結果を得た。同省は一一年十月に「戦没者のものとは考えにくい骨が含まれていた」とする検証報告書を公表し、DNA鑑定により旧日本兵の遺骨でないものを区別・排除することが可能と提言していた。

 共同通信が入手した報告書によると、DNA鑑定は、検証作業の担当者とは別の専門家二人が担当。うち一人は「鑑定できた五十五個体のうち、判別できなかったものが三個体。フィリピン人と思われるものが五十二個体。日本人の可能性が高い人骨はなかった」とし、もう一人は「日本人に多く見られるタイプに一致するものは一例もなかった」としていた。

 

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