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【社会】

子ども狙う目 20メートル先に 民間研究所 父娘が分析、呼び掛け

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 犯罪者は20メートル手前から狙う−。夏休みや登下校中の子どもの安全を守ろうと、民間シンクタンク「ステップ総合研究所」(東京)の清永(きよなが)奈穂所長(47)は「20メートル前を見て歩こう」と呼びかけている。特別顧問の父・賢二さん(74)は警察庁科学警察研究所(科警研)の初代犯罪予防研究室長。二人三脚で安全教育を続ける。 (神田要一)

 「このぐらいの位置から犯人は目星をつけるんです」。東京都杉並区の杉並第六小学校で開かれた安全教室。清永所長は小学生や保護者約七十人が集まった体育館で、歩いて二十メートルを測ってみせた。親子のペアで二十メートル離れて立ってもらうと、子どもらは「結構、二十メートルって遠いんだ」と実感していた。

 参加した元PTA役員の斎藤京子さんは「親が二十四時間、子どもを見張るわけにいかない。子ども自身が身を守ることも必要」と話した。清永所長は全国の小学校やPTA、防犯ボランティア向けの安全教室で「二十メートル」という数字を伝えている。

 二〇〇六〜〇七年、日本女子大で犯罪行動生態学を教えていた賢二さんと同大の研究員だった清永所長は、誘拐やわいせつ目的で路上で子どもを狙う犯罪者の心理を分析しようと、犯罪歴のある男性の立ち会いで実験をした。

 背格好の異なる子どもの人形を並べ、男性がそれぞれを認識する地点を調べた。その距離はおおむね二十メートル。近づいて狙いやすい相手を選び「やるぞ」と決意を固めた上で、約六メートルまで近づいたら声をかけたり、一気に襲いかかるなどの行動に移す。

 犯罪歴がある別の人たちからの聞き取りでも、この距離感が裏付けられた。走って逃げる子どもを大人が追いかける別の実験では、子どもが二十メートル以上離れれば、犯罪者は諦めることも分かった。

 清永さん親子は長年、子どもを狙った犯罪の研究を続けてきた。賢二さんは科警研時代、東京と埼玉で一九八八〜八九年に起きた連続幼女誘拐殺人事件の犯人像をあぶり出そうと、子どもを狙った別の事件を分析した。その後、犯罪歴がある約二百六十人を対象にした社会安全研究財団(現・日工組社会安全研究財団)の調査に参加。襲う相手を探す方法は「路上を歩きながら」との回答が半数に上った。

 「データを生かし、子どもの安全を守りたい」と強調する賢二さん。研究を受け継ぐ清永所長は「子どもたちに二十メートル先の危険を意識してもらい、自分で判断する力を身に付けてほしい」と話し、発達段階に合わせた体験型の安全教育に力を注ぐ。危険を感じた時に取ってほしい行動を「走る」「叫ぶ」「見る」「(近くの家に)飛び込む」「かみつく」など七つ挙げ、それぞれの頭文字から「ハサミとカミはお友だち」と合言葉にして呼び掛けている。

◆危険を感じたときの7つの行動 ハサミとカミはお友だち

▼逃げるときは(20メートル思いきり)はしる

▼「危ない」と感じたらさけぶ

▼危険を避けるには(20メートル先を)みる

▼追いかけられたら(近くの家や店に)とび込む

▼抱きつかれたらかみつく

▼怪しい人に声をかけられたら、はっきりと断る

▼お友だちを助けよう

 

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